みどり-171

７ヶ月に入ってお腹も少し目立って来た４月
京介の機嫌が悪い
原因は分かっています

「役職が上がるのが、そんなに嫌なの?」
「返事も出来ない程?　何時ものあたしの大好きな顔は、
　何処かに落として来たのね」
「ご免。　月一回の出張が、ずっと増えてしまう」
「それが不機嫌の原因?」
「だって知佳一緒に居られない」
「子供みたいな事言わないの
　何日も何ヶ月もでは無いのよ、
　然も増えるのは大阪ではなく東京でしょう?
　たかが週に二・三日」
「たかがでは無く、三日、も」
「水曜日の朝に出て、金曜日の夜に帰るのよ
　会えないのは木曜日の一日だけじゃない」
「一日では無く、三日」
「何ならあたし、付いて行きましょうか?
　どうせ豪華なホテルの部屋なのでしょう?」
「うん、そうしよう」
「何よ、本当にそうする気?」

嬉しそうな顔
何時もの顔に戻ってる
参ったなー、このおっさんには
子供を連れる母親みたいじゃない
ニコニコしてるわ

「もう決めた、これで安心出来る」
「貴方って信じられない事を普通にするのね
　この半年で分かった積りだったのに」
「車で三時間も掛からないから、直ぐだ」
「分かったわよ、付いて行って上げる
　水曜の朝だと５時には出ないと」
「いや、火曜の夜に出よう」

はいはい、分かりました
でもそんなにあたしを
嬉しい、とっても幸せ

　　　　　　　・・・つづく