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俺の24時間4

2008年02月24日 14:29

レイラが心を開いたのは、スパイもののドラマで同僚が拷問で殺されてしまうシーンを見てからだった。しかもその拷問は敵国にやられたのではなく、自国に帰ってから制裁として行われたという設定だった。

 実は彼女には同僚がいて、わが国のエージェントにつかまり、その後脱出して自国にもどったが機密情報をもらしたと疑われて殺されていたのだった。

 彼女はそれを思い出すとともに、自分が本国に帰っても生きる道がないこと、また人間として虚しい生き方をしてきたことを感じ始めていたのだ。

「私は、帰っても殺される。」
 それがここ一ヶ月ではじめて発した言葉だった。

 俺は日本でつかまったスパイが過去にどういう処遇を受けたかを話した。

「日本では殺されるどころか拷問さえゆるされていない。確かに世間は白い目で見るかもしれないが、気にせず生きられるよう、できるだけの手配はする。」

「日本に入り込んでいるA国のスパイが、私を殺しに来るわ。」
「その前に情報のありったけをさらし、顔を出してしまったほうがいい。殺害されればA国のせいだということがわかってしまう。そのほうが安全だ。」

「わかったわ。」

「ところで君の拳法の腕前はかなりのものだな。」
俺が彼女の腕前をほめると女がにこりと笑って言った。

「ありがとう。私の師匠はもともと少林寺の僧だったのよ。政府に養成所につれてこられてね。まさかスパイ相手に教えているとは知らなくて、ただ子供を鍛えるためだけにいなかの方の孤児院で訓練させられたのよ。
 あなたの言ったこで師匠の言ったことをたくさん思い出したわ。」
 そうか、と俺は思った。

 スパイによってはケダモノや機械のようなやつらがいる。ところが、はじめからこの女の表情にはなぜか人間性がやどっていた。おそらく幼少のころに叩き込まれたのであろう仏教の思想が潜在意識の中に叩き込まれていたからだろう。

「でも、あなたの技にはかなわなかったわ、なんという技なの?みたことがないわ。合気道とも違う気がするし。」

「もとはただ手という。琉球王家に伝わっていた技だ。本来は人を傷つけるためのものではない。王家を護る為の武術だ。本部御殿手といわれている。」

「だから、あまり当身を使わずに、痛くないように押さえ込んでくれたのね。負けたとき・・・」

 彼女は少し言うのをためらうように続けた。

「・・あなたの愛情を感じたわ・・」
 彼女は恥ずかしそうに頬を赤らめた。

 俺その姿にいとおしさを感じて反応したが、自分に課したルールを破ろうとはしなかった。

 それをみて、彼女が近づき、俺のものに手をあてながら
唇を合わせ、舌をからめた。

 彼女は服をぬぎながら拙い日本語で俺にいった。
「ね・・お・ね・が・い」

 俺は一ヶ月間の禁欲生活を終え、ありったけのエネルギーで何時間も彼女を愛した。彼女もまた洗脳から解き放たれ、泣きながら喜びの声をあげた。

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