俺の24時間3

　女スパイが心を開くのに1ヶ月かかった。自力で食事を食べ始め、トイレにいっても暴れることはなくなった。入浴も自分で行い、着替えもきちんと自分でするようになった。

　A国は孤児院から子供をつれてきて養成所でスパイを訓練する。両親を知らないものが多い。ただ、それでも友情は生まれる。友情の形を、彼女はしているはずだと踏んだ俺は、彼女の友人となるべく、いろいろと話しかけた。

　何の関係もない、世界の歴史から話した。古代の文明、ピラミッド。プラトンの話、アトランティスの伝説。神話。心理学、人間、世界で起きていること、資本主義社会の矛盾、男と女。日本人の堕落。

　そして俺たちの一族について。

　俺の一族は昔からスパイのようなことをしていた。日本では忍びとか忍者とかいう。だがその中でも特殊で、俺たちの一族は代々皇室を守ってきた。　

　そして皇室のスタートは実は2500年前の神武天皇どころかはるか百万年以上も昔にさかのぼる。お前が信じようと信じまいと、少なくとも俺たちはそれを信じている。

　われわれに対抗する勢力はこの歴史をすべて隠滅してきた。だから人類は一種の記憶喪失に陥っている。