みどり-03

彼を最初に気付いたのは今年の夏、
丁度１ヶ月前でした
たまたま隣に座っていて、
９時前に彼が７箱を交換して帰る時に
「もう止めた方が良いよ」
　とハスキーな声で耳打ちしたんです

その時あたしは５箱積んでいました
嫌な奴と睨み返すと、
優しい目で笑っているんです
結局１時間程でみんな飲まれてしまいました
また今日も３万円の負け
あーあ、彼の言う事を聞いていれば、
１万円は勝っていたのに

それからは彼の事が気になって見ていると、
何時も６時過ぎに現れ２・３時間で帰ります
何時も何箱も出して、です
あたしは週末も毎日来るのですが、
彼は土日や祭日は来ません
平日だけで、
来ない日も有ります
そんな日は何故か、寂しい
最初に声を掛けられた次の日彼の隣に座り


「昨日あれからみんな飲まれてしまいました」
　と言うと
「あの台はもう出ませんから」
「そんな事分かるのですか?」
「そんな事が分から無いのならしない方が良い・・・
　絶対に　勝てないから」

悔しいけれどあたしには分かりませんでした
彼の左に座っていたのですが

「今日はどう?」
「また、２万円程負けています」
「それじゃ、こっちでやってみて、
　１万円以内に５・６連荘が来るから」

　　　　　　　・・・つづく