エチオピアイルガチェフ

午後の合間に部下と立ち寄った喫茶店で、いつものようにエチオピア・イルガチェフを注文した。
華やかな香りがカップから立ちのぼり、ひと口飲むと果実を思わせる酸の輪郭が柔らかく広がる。
最近このコーヒーを好んで選ぶのは、この繊細な香りと余韻に心を掴まれているからだと思う。

ときどき、このイルガチェフの味わいは、好きなのワインを思い出させる。
ベリーのような華やかな香り、舌の上に広がる果実を想起させる不思議な酸味。
一見違う飲み物なのに、風味の奥行きが似ていて、味覚の記憶がゆっくり呼び起こされる。
ワインのボトルを開けた夜のことや、特別な席で交わした乾杯の瞬間も重なっていく。

丁寧に抽出された一杯に身を委ねていると、自然と仕事への気持ちも澄んでいく。
今日も落ち着いた一日だった。
小さな喜びが積み重なることで、仕事も人生も豊かになるのだとあらためて思う。

明日もまた、よい一杯と共に。