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〔小説〕夏の始まりの3秒間

2011年07月31日 23:56

バイト帰り道だった。夕方5時までで終わって、駅に向かう広い道でのこと。大きな交差点を越えたら、駅なんだ。携帯電話の電源を入れて、長い信号待ちの時間でメールチェック…。

みんな忙しいんだな…。

メールは来てなかった、バイトだったり、旅行だったり。
もう予定がぎっしりなんだろう。気付けば、夏が始まった。
7月の終わり、明日から8月だった。

いや、いつの間にか始まっていた。何やら今日は騒がしい。
そうだ、この街の大きな祭りの日らしい。信号待ちの人混みを見てみると、すぐ隣には浴衣を着たカップルや、さっきからうるさい後ろには、かき氷を持った中学生の男子が3人ほどいた。

前に向き直ると、信号がちょうど青になったところだった。
周りとともに歩きだす。道の向こうで待っていた人混みも動き出した。歩きながらもちろん前と、携帯電話をチラチラ交互に見ながら歩き出すと、懐かしい風が吹いた気がした…。

変な表現かもしれないけど、本当に…。

ふと前を見ると、…去年の夏、ちょうど今頃別れた元カノが前から歩いてきた。とっさに視野に入ったのは、小さな桃色の花模様をあしらった紺色の浴衣、別れた時と同じくらいの髪色‐茶色、そして、右手の先には他の誰かの手…。一枚の写真をパッと見たように全てが鮮明に視野に入ってきた、1秒間…いや1秒もない中で全てを察した自分がいた。横を向いて右手の先の知らない誰かと笑いながら話す元カノがいた。

相変わらずキレイだ、と思った次の1秒間、前を向いた元カノと目が合った。

そして、次の1秒間には元カノは目をそらしていた。とっさに心が止まったが、人混みは待ってくれない。人混みと自分との間にある風に押されて白と黒横断歩道を渡るしかなかった。
白黒考える間もなく、あの手の正体は…今の彼氏だろう。

https://www.youtube.com/watch?v=KsCtFdgeUuk

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元カノと別れたことを後悔する瞬間8パターン+

【1】自分と付き合っていた時よりキレイになっていた…

元カノは去年の時より、自分と付き合っていた時より、キレイになっているような気がした。加速してキレイになったのは今の彼氏の力なんだろうか…。自分がキレイできなかったことが悔しい…。

【2】ファッションセンスに磨きがかかっていたとき…

悔しいけれど、浴衣は「反則」だった。
今の彼氏が好きだから、選んだんだろうか…。

【3】昔はアホそうだったのに、上品になっていたとき…

3秒間では何もわからないけれど、今の彼氏は頭が良さそうだった。天然でアホでおっちょこちょい元カノ雰囲気ではなく、どこか凛々しい真面目な元カノとすれ違った気がする。

【4】元カノ笑顔を見たとき…

でも、相変わらず笑顔が好きだった。普段大きな目が、細くなって心から楽しそうな笑顔が今さっき、1秒間蘇った。

【5】何も飾らずに一緒の時間をナチュラルに過ごせた時…

この1年間全然会わなかったけれど、季節を巡ってまた夏に、たった3秒間でも見れたことが嬉しかった。

【6】自分のことをまだ好きでいてくれると知ったとき…

おそらく、好きではないだろう…

【7】他の男が隣にいて、幸せそうな様子を見たとき…

だって、横には違う人がいるのだから…

【8】自分より魅力的な彼とつきあっているとわかったとき…

その横にいる人は君を、僕が付き合っていた時よりもずっと輝かせてくれている人みたいだから、きっと魅力的な人だと思う。

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