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〔初解禁〕氷上での表情

2011年07月09日 00:52

Nullglass story on ice〔palm story〕

暑い中、ひとつの大きなグラスのコップは頑張った。
テーブルに待つ、小さなおそろいのグラスのコップ。
おそらく、「2人のコップ」だろう。

大きなグラスのコップは頑張った。
自分のキャパシティーいっぱいに入れた氷がやはり重い。
無事テーブルまでたどり着くだろうか??

やっとの思いでテーブルにたどり着いた。
ごめんね、ちょっと中で溶けてしまった。
急いで、無我夢中で分けて、移し替えた。

暑い中、待っていた2つのグラスの「2人」。
そこにサイダーが注がれる。夏らしい音が共鳴しあう。

そんな2人を見ているだけでも涼しい気分になれる。
大きなグラスのコップは頑張った。

気付けば、自分にもサイダーが注がれる番がまわってきた。
そこで気付いた。

無我夢中に目の前のコップに分けるあまり、自分の持ってきた氷を全部2人に渡してしまったことを。もう、2人はいい感じに飲まれている。

大きなグラスのコップは静かに言った。

「自分は、せっかくのサイダーをおいしくいただけるような準備が出来ていません。持っていた氷を全部あの2人に渡してしまったからです。目の前にいたあの2人の幸せのために全部渡しました。だから、サイダーを注がないでください」

注ぎ手は悲しそうにためらった。グラスは続けて言う。

「でも自分は幸せです。今からなら、受け取るキャパシティがあるから、もっと冷たい綺麗な氷が入れられます。受け取る準備ができてこそ、幸せが訪れます。見てごらんなさい、あの2人を幸せがどんどん薄まって小さくなって、サイダーも美味しくなくなり始めています。それに比べて私は、今からなら、サイダーよりももっと美味しい何かが注がれるチャンスがあるのです」

注ぎ手はそのグラスを持って、冷凍庫へ向かった。

…もしかしたら、そんなやり取りがあるのかもしれない。

人間の僕らから見れば、どう見てもnull(表情のない)glass(グラスの)story(物語…)、それでいてon ice(氷上での)story(物語…)

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いつも小説とかってパソコンで書くんですよ。
でも、今日は珍しくケータイでした。
電車乗っていてふと思いついて書き始めたんです。
違う、打ち始めたんです(笑)

こんな短い小説を「ショートショート」って言ったりします。
別の言い方だと「掌小説」…palm storyですよね。

その名の通り、掌に置いてそのまま読めるだけの長さの文…なんでしょうが、ケータイの存在もあってもっと身近になってきましたね。

妄想妄想を重ねた文、いかがでしたでしょうか??

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