【魔法少女カーマイン】将軍、二人目！

「はぁ……」
ため息をつく茜。
「はいは～い！久保田先生のお手柄で、強姦魔は逮捕されたから、もう安心ですね～。でも誰か先生と一緒に帰りませんか？」
ニコニコがおで松並先生は教壇にいる。
生徒たちは彼女を無視するかのように、放課後の各々の場所に散る。
「あらら、いけずですね～」
「はぁ……」
「おやおや、どうしましたか？清澄さん」
「最近、茜のやつ、ぼうっとしてるのよね」
「ひょっとして、恋ですか？初恋！おめでとう～～」
くねくね踊る松並。
ばんっ
机を叩く茜。
「違う……と思います……」
ふらつきながら教室を出る茜。それについていく小春。
松並は教室に取り残される。
「チカラが弱ってますね～……」
謎の呟きをこぼす。
先程まで晴れわたっていた空はあっという間に雨空に姿を変えていた。
「待ってよ～、茜」
「もう帰ります！」
「あたしには話し聞かせてよ～」
「わかりません」
「そんなに遠慮しないでさ～。親友。相談料は……なんのお菓子がいいかなあ」
「だから、「わからない」が悩みなんです！」
「ほえ？」
小春がキョトンとなる。
「わたし、自分の気持ちが、わからないんです」

「ククク……待ってたぞ！」
見知らぬ髭の男が、帰路に待ち伏せていた。
「あんたを待たせる道理なんてないっての！」
小春が突っ込む。
「そう言うなや。お待ちかねのバトルの時間だぜ？」
男は黒いカードを掲げる。
「出でよ、ネガイナー！わが僕として遣えよ」
同時に男は首輪を投げる。カードが首輪と重なり、同化し、怪物の姿を現す！
「ちゃうちゃう！ちゃうちゃう！」
それは3つの首を持つ、巨大なチャウチャウ犬の怪物だった！
「ククク……それは人間のエゴにうち捨てられ、保健所にとサツされた哀れな飼い犬の首輪だ！人間への復讐心。素晴らしい願いのチカラだ！ククク……」
「それより、あんたは誰よ」
「4将軍のひとり、サダム！帝国の邪魔になるお前たちを消すためにやってきた」
「アドルフさんは、どうしたんですか？」
茜が息を切らすように叫んだ。小春は茜の悩みの正体をやっと悟った。
「アドルフ？あいつはしばらく謹慎だ。そして討伐をワシが買って出たわけよ。アドルフが謹慎解く頃にはあいつの仕事はなくなるわけだ。ククク……」
ジャキン！
サダム将軍の左手は義手であり、指の数だけあるバルカン砲だった。
「スカッドバルカン！」
容赦なく撃って来る。
「ひいいい！茜、変身よ！」
「うん……」
変身中にもサダムはバルカンを撃ち、怪物は容赦なく吠えまくる。
「コバルト、コールド畳っ！」
氷で出来た畳で、なんとか敵の攻撃を防ぐ。
「不意討ちなんて卑怯な！」
遅れて変身完了した茜がサダムの懐にまわり、殴る蹴る！
「アドルフとは違うのだよ、アドルフとはっ」
ババババ！
サダムは容赦なく茜のお腹にバルカンを零距離射撃した。
「うぎゃああ～！」
後方に飛ばされる。不意に現れた久保田先生が抱き止める。
「か弱い女の子に腹パンチとは、外道な……」
「ふん。戦争は勝てばいいんだよ。勝てば！」
邪悪な笑みを絶やさぬサダムだった。
続く！

【カード紹介】
チャウチャウネガイナーは保健所でコロサレタ犬たちの怨念を怪物にした恐るべき獣だ！