長女の生還【３】・・専門医所見への葛藤

【専門医の所見に衝撃!？】
・・休暇を取り、所定の時間に長女を伴い車で共済病院を訪ねた。
途中、娘に先生に会う事／幼稚園の先生同じ様に接すれば良い事／
キミの怖かった事を治してくれる事等を言い聞かせた。
やや緊張しながらも、笑顔の返事が有った。

50才を少し越えたあたりの穏やかなＷ先生と娘と共に向かい合った。
医師は、娘を診、表情を検め、指を立て、視線で追う様に促した。
娘は、支持に従った。
次にプレートに挟んだ白紙を渡し、好きな絵を描く様に促した。
娘の表情が和らぎ、手をつないだ女の子を二人書いた。
医師が尋ねた。『どこに行くの？』
娘が、「お散歩に行くの！」と応えて、二人の下に“おさんぽ”と書いた。
更に医師が尋ねた。『これは誰と誰？』
娘が、「あたしと千○！」と応え、それぞれの絵の上に、名前を書いた。
（医師に自身と妹である事を補足した＾＾）

医師が、柔らかい表情で、娘にもっと好きなモノを書く様に促しながら、
私を見て言った。
『一つ懸念していた事が有ったので、何点か確認をしました。』
『懸念どおりであれば、所見を絞る事も考えたのですが、判断を委ねたいと思います。」
と所見の口火を切った。

『血液検査からは、異常値は全く見当たりませんでした。』
『脳波で、一箇所だけ異常な波形が診られました。』
『それは、癲癇（Tenkan）症特有の波形でした。』

動揺を抑えきれず思わず聴いた。
「一箇所でも現れると、症状が断定されるのですか？」
「癲癇は遺伝性の病因が多いと聞きますが、私の身内では記憶する限りでは居ないのですが・・」
「家内の身内についても確認はしますが、チアノーゼの時間の関係で症状を
引き起こす部位が、損傷して起きたとも考えられますか？」

医師は、苦笑しながら言った。
『まだ、お嬢さんを癲癇症患者と決め付けた訳ではありません！』
『同一波形が複数、具体的には５％以上現れている場合は、
速やかな原因究明の為の検査や発作に備えた抑制剤の投薬が必要ですが、
お嬢さんの場合は、初めて起こった症状である事や、今確認したところでは、
知育の面では、極めて順調な様子なだけに、今後の進め方についても、
ご相談したいのです。』
と、うろたえる私を諭（sato）す様に続けた。

『今日の時点で想定される事は、
①専門病院での再検査－ＣＴ撮影やＭＲＩ検査ですが、部位特定では効果を発揮しますが、１ｍｍを下回る微小な検査には、画像が粗く不向きです。

②脳波測定が精度は最も高く、発作を繰り返すケースでは、日常でも波形に発現する可能性が高いのですが、
お嬢さんの場合は、先日来、起こっていない事から、現在測定しても、該当する波形が捉えられない事も考えられます。

③しかし、原因が特定できた場合や、意識障害が再発した場合、先日は、エレベーター内であり、ご主人が同行しておられたから良かったものの、もし道路横断中や自転車走行中に発症した場合、極めて危険な二次的被害が懸念されます。

④その場合、抑制剤（抗癲癇剤）を処方し、３～５年継続して服用していただくのが比較的軽度の場合の一般的な治療法です。
ただ、その場合は、成長ホルモン・バランスへの副作用は避けられませんし、投薬実績がカルテに残りますので、お子さんの将来を考えた場合には、判断が難しい段階としか申し上げられません。

⑤先天性（遺伝性）または後天性（周産時やその後の疾病等による低酸素血症で来たす脳機能障害の発症）かの判断からすると、
後者の可能性がより高いかと思われますが、今後の再発を見通す事は、現時点ではできません。』

と一気に所見を話し、最後に、
『専門医療機関での精密検査を受けられる場合は、
紹介状をお書きしますので、来週・水曜の同じ時間帯にご判断をお聞かせ下さい。』
言い渡された。

隣で娘が、お絵描きに飽いのか、私と医師の顔を見ていた。~｜~；

礼を述べ、診察室を辞し、娘を抱き上げ駐車場に向かう際、
無性に込み上げるものが有り、思わず娘に頬擦りした。
娘が、「お父さん、お髭が痛いよ～！」と押しこくったが、
無邪気な娘が、愛しく切なく涙が溢れた。

娘が、「お父さん泣かないで！」と首筋に抱きついた。

これだけの感性を示す娘を、一回のトラブルぐらいで、３年も５年も、不快な思いやレッテルを貼らせたくないと強い思いで抱きしめた。

【次回＝最後は、＜専門医への説得～Happy Wedding＞】