- 名前
- tarashi
- 性別
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- 年齢
- 57歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- 外見はまじめ。60歳代だけど禿げてませんよ。小柄だけど、体力あります。性格はのんびり...
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ハックル(ハンガリー語でしゃっくり)
2008年04月05日 01:14
「タクシデルミア」のパールフィ・ジョルジ監督の名を世に名さしめた作品です。
ハンガリー映画なんですが、なんと、ラスト近くの女性のコーラスのシーンまで、人間の言葉はほとんど出てきません。つまり、字幕もいらないのです。
のっけから、蛇の鱗のマクロ撮影です。そしていきなりしゃっくりが聞こえ始めます(ハックルというのはハンガリー語のしゃっくりという言葉だそうです)。おじいさんがしゃっくりをつづけながら家の外にでて、椅子に座って道端を眺めているシーンが続きます。その間もしゃっくりはつづき、体の揺れで椅子がきしんでしゃっくりときしむ音の協奏が始まります。
子供や、ブタを散歩させている男性や、牛の群れやいろいろな人・動物がおじいさんの前を通り過ぎます。でもずっとしゃっくりがつづきます。
草原では羊の群れがいます。この羊の毛のマクロから、毛が割れて動き出すシーンはすばらしいです。とにかく、この撮影監督と監督はこれでもかこれでもかっていう風に、いろいろな角度から、ものや動物や機械を撮影します。
村の酒場の外には男たちが集まり、ボーリングのような遊びをしています。
縫製工場では女性たちが列になってミシン仕事をしています。ここでも布から針がぬっとでてくるアップの映像や、回るボビンの映像など素晴らしいシーンだらけです。
年老いた女性の家がうつります。子供たちに食事をつくり、いっぽう、おじいさんにはミキサーでどろどろにした食事をあたえます。きっと飲み込みが悪いのでしょう。その残りをおばあさんの目の届かないところでおそらくは孫が猫と一緒に食べています。
少しの映像の間のあと、いきなり葬列のシーンです。しゃっくりのおじいさんの前を通ります。棺が小さいのです。もしかしてあの孫の・・・・。
いきなりシーンは蜂の集団のそれに代わります。養蜂家の男が出てきて、蜜を蜜の巣箱から遠心機でしぼりとります。かれはどうも女性と森の中で逢引をしています(奥さん?)。
一方、羊飼いの若い娘は、家に帰ると男ばかり3人に食事を与えるのですが、この男たちときたらなにもしないで、食事のときだけ起き上がり、食べるのです。
いきなり、カメラは家の外の地面にもぐりこみます。モグラがミミズをとらえ、前足でミミズをしごきながら食べていると(岩波科学映画もまっさおの映像です)、いきなり頭上から鍬がおりてきます。地面ではおばさんが鍬で地面を耕しています。どうもこの映画の村は女が若いのから年寄りまで働き者みたいです。あわれモグラは犬に食べられてしまいますが・・・。
そばには横たわって男の老人がいますが、枕もとのスープには虫がたくさん浮いています。一方女性は、塀をまたいで年金収集の女性となにか話をしています。
パトカーにのった男性警官の家(この父親が養蜂家のようです)では、年取った母親が何かビンをあらっています。ビンのそこにはバツ印がついています。なんでしょう?
そして泡がついたコップの水のマクロが始まったと思ったら、いきなりカエルがあらわれ、シーンは沼にうつっています。で、いきなり大魚にかえるは食べられるのですが、その魚が潜って泳いでいるところには、なんと男性の・・・・。あの帽子、見覚えが・・・。
警察官は女性と一緒に沼のそばの家を探していますが、警察官が家に入ったすきに、そばにあったペットボトルの水をすてていますよ・・。むむむ・・。
いっぽう、さきほどの大魚は釣り人によって釣り上げられ、彼の家の食卓に。ところで、この釣り人の家は彼のほかは陰気な女性ばかりです。しかも彼だけが魚を食べている。とつじょ、エックス線の造影ビデオになるや、舞台は村の病院に変わります。
今診察を終えた男が馬車に乗って帰るところとすれちがいに養蜂家がやってくるのですが、カメラから遠ざかる方向に歩いているとばたっと倒れるのです。そして画面はボーリングのピンが倒れるシーンに・・。男たちはまだ遊んでいます。
そして、養蜂家の葬列のシーンです。葬式の列には警察官をやっている息子のほかに、妻、そして森で逢引をしていた女性も歩いています。
そうこうしているうちに、突然、村に地震のような揺れがやってきます。と、どうでしょう、小川に沿ってジェット戦闘機が超低空飛行で飛び、なんと小さな橋の下をくぐりぬけ、パイロットはガッツポーズです。警察署に戻ったあの養蜂家の息子ですが、なんと彼の同僚の女性警察官の机の中にもそこにバツ印がある白い液体の入った瓶が・・・。養蜂家の息子(警察官)は事件(沼の家の住人の失踪事件ででしょうか)の写真をならべています。ふと2枚の写真をみくらべると、ペットボトルの液体の量が変わっています。彼は何かを悟ったようです・・・。
洞窟のようなところで養蜂家の妻がなにか液体を樽からくみ出して捨てています。と、息子(警察官)が来てそれを見つけます。顔を見合せてなにも動けなくなる、養蜂家の妻と息子。どうやら、その液体が、事件の鍵のようですね。
舞台はいきなり変わって、村で行われている結婚の披露宴。女性たちが民族衣装に身をつつんで「もはや夫を愛していない女性は・・夫にベラドンナを盛っちゃうの。パプリカも一緒に。未亡人になっちゃうの。もし愛しているなら、素敵な夕食よ。」なんてすごい歌を歌います。この映画で登場する、はじめての人間の声がこれですからね。
いやあ、なんとも難しい映画です。映像だけ(音はしゃっくりとか、ミツバチの羽音とかそんなぐらい)で、村に起こっている不思議な事件をあいまいに表しています。すごい手腕です。映画館で1回みるだけではわからないと思います。映画館で見て、またDVDで見るというのがおすすめでしょうかね。
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