- 名前
- nomiya8
- 性別
- ♂
- 年齢
- 80歳
- 住所
- 埼玉
- 自己紹介
- 気持も若い積りだし、身体もそうだと思ってましたが先日忘年会でボーリングをした時、運動...
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回顧録-その2の2
2007年07月20日 13:33
[意気地なし]
昨年の暮れ頃から、何となく時々彼女と一瞬だけど目が会うことがあった。
そしてそれは少しづつではあるが頻度が増えた様に思えた。
大分前から私は彼女の方に解るように顔を向けたりして、興味のある事を誇示していた。それがその頃の私に出来ね最大限の意思表示だった。
2年になり少しした頃から、彼女は私の隣に来てつり革に捕まって立つ様になった。
バスが揺れる度に彼女と身体が触れる。そして触れる自分の身体の部分で彼女から伝わる全てを吸い込む様に神経を集中していた。
(これはもしかして痴漢の始まりかな?)
バスが駅に近付くにつれて混みだしてくる。
彼女とは身体が密着状態だ。
でもそれと同時に彼女の細い腕で必死に身体を支えていた。
私は彼女の少し斜め後ろに移動し、カバンを左手に変え、右手でつり革の上の金属の棒を握り、彼女に掛かる人の重みを少しでも軽くしようとブロックした。
季節も変わり夏服になると、私は開襟シャツ、彼女も半袖だから腕と腕がが直に触れ合う。
その様な毎日を楽しんで通学していた。
秋口になって、ある日の帰り、
駅でバスに乗り込むと、その日は彼女は載っていて、彼女の隣に同じ制服の女学生と一緒で、何やら談笑していた。
その女生徒とは朝のバスでも時々見掛け、彼女と同じ制服なので同じ学校である事は解っていたが、それまで二人が一緒で話してり、挨拶をしたのを見た事がなかったので、同じ学校でも知らない者同士だと思っていた。
その女学生が、それと解る様にしっかりと私を見て彼女と談笑している。
私が話題になっている事は察しられ、何か身体がぎこちない動きをしている様だった。
時々彼女達に目を向けると、連れの女性と目が合ってしまい、彼女に何かを話している様だった。
嬉しい様な、ドキドキした重い雰囲気は長くも感じた。
やがてバスは彼女が降りる停留所に着き、彼女達は連れ立って降りた。
その連れは彼女の家でも行って、おしゃべりでもするのだろうと私は思った。
私の降りる停留所は彼女の所から二つ目だが、一つ目で直角に曲がって行く為、直線距離ではそう遠くない。
強雨の事を色々思い巡らしながらバスから降りて自宅へ向かった。
私の家はバス通りを直角に曲がり300メーター程で右に曲がり5,60メーター位の所にある。
私はその角を曲がり、少し行った所で向こう側からこちらに向かってくる彼女とその連れの二人が目に入った。
一瞬何と表現してよいか解らない、驚きと何かが合い混じったものが頭を貫き、頭の中は真っ白、全く思考力はなくなった。
戻ろうかと一瞬思ったが、それもならず家に向かって歩いたが、足は地に着かず、彼女達との距離は詰まる一方。
彼女達との距離が20メーター位になった時家に着いた。
私は急いで部屋に入り、窓越しから彼女達の歩いている姿を見ながら、
どうやって話を切り出せばよいのか、色々リハーサルしていた。
何にもまとまらない。
しかし時間がない。
えいっーとばかりに家から出た。
彼女達の姿はなかった。
一本先の路地に行った。
彼女達は居た。何事もなかったかの様に会話している。
追うか如何しようか迷っている内に、どんどん彼女達は遠ざかる。
彼女達も私が後ろに居る事は気付いている筈だ。
でも関係ないかのように歩き続ける。
でも一歩も動けない。
私はしおたれて家に戻る。その間未だ胸の鼓動は鳴りっぱなし
「何であそこまでアプローチされているのに行かないんだ」と
勇気のある心の中のもう一人の自分。
「でも、向こうは二人だし年上だから」と本当の自分。
次の日にも何時もの様にバスで顔を合わせ、私の隣で立っている彼女。
今は彼女一人だ。
でも話し掛けられない。
彼女達はあそこまで行動を起こす。
なんて勇気があるんだろう。
それに比べ自分は何だ!
もう本当に会えなくなっちゃうんだぞ。
そう思いながらも何も出来ず、とうとう2年も終わり、春休みに入ってしまった。
3年が始まり、もう合えないんだなと思いつつも、その停留所にバスが着くと、ついひょっとして彼女が居るのではと、淡い期待を抱く。
すると如何だろう、彼女は制服で立っていたではないか。
何だ同じ年だったんだと始めて知った。
知ったから如何だ。今度は声掛けられるのか。
怪しいもんだ。
何か刑の執行が1年延びた感じと嬉しさが込み上げてきた。
今度こそこの1年の間に何とか話せるまでには。
そんなある日の帰り、今日は会えるかなと思いながらバスに乗るが期待はずれ。
又明日の朝会えるさ。
そう思い家に着く。
学期末試験も近く、直ぐに机に向かい少しして、何の気なしに外を見ると、彼女と何時もの連れの二人が我家の玄関の前に居るではないか。
前回は私とのすれ違いで、家だけを確認したが、
今日は私の名前を確認しに来た様に思われた。
出て行こうかな。
出て行っても前回と同じシティュエーションだから出来ないだろうな。
そう思うと窓からただ彼女達を見ているだけで終った。
お陰で、卒業間近に宿題が遅れ徹夜し、遅刻してしまったが。
その日の事で精金賞を貰った。
今思い出してもその頃の自分が歯痒く、腹立たしい思いだ。
完
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