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回顧録-その2の1

2007年07月19日 10:49

[意気地なし]

私には年の近い女兄弟がなかったせいか、高校へ行くまでに2,3人の同級生女性に好きな人がいたが、一度として私から声を掛けたり、それに似た言葉すらいえなかった。
そしてとうとう中学卒業

言葉に出すまではこちらの勝手な片思いで居られるし、学校では何時でも彼女を見ていられるが、
もし言葉に出して、その結果期待せぬ言葉が返された時の辛さから言えなかった。


高校に入り、バスと電車での通学となった。
バスで最寄り駅まで行き下車、そこから電車での通学だ。
彼女は私と逆で、その駅まで来て、そこから私が降りたそのバスでその先まで行く。
電車もバスも結構頻繁にあったから、何時も会える訳ではなかったが、時々顔を見られるのが唯一の楽しみだった。


通学を始めてから数ヶ月程経った頃、途中から時々同じバスに乗る一人の女子高生に気が付いた。色白でとても美人で私より年上に思えた。
多分高校3年生位だろうなと思われる。でも綺麗だ高嶺三枝子に似ている。

バスの混み様で私の立っている場所に近かったり、離れていたりしていた。
彼女は私が降りる駅では降りず、そのまま先まで行っていた。
でも中学時代のあの女性とは違う事は制服で解っていたが学校名までは知らない。

帰りも時々会うことはあったが、部活なんかの都合もあり稀だった。


そうこうしている内に1年も終わりに近付いた。
あぁ、彼女に会えるのももう少しの間だけだな。年上だし、言葉を掛けても出目に決まってるからな。と思いながらも、もし就職しても自宅が同じなら通勤で一緒になる事もあるかも知れないぞ、という期待もあった。

その当時も昔の彼女とも時々顔を合わす事はあったが、心の高揚はあるものの以前ほどではなくなっていた。


春休みも終わり、高校2年になって初めての通学。
私は心の中でもしかしたら真新しいスーツを着た彼女と顔を合わせられるかも知れないと言う期待を胸に、弾んだ心で家を出た。

バスが彼女の乗る停留所近くに来ると、私はそこに並んで待っている人の中に彼女の姿を探したが見出せなかった。
勤めは何処なのだろう。
時間帯が全然違うのかもしれないな。

そう思いながら何日かが過ぎた。
と、ある日彼女が乗り込んできた。
しかも以前と同じ制服姿で。

私は嬉しさと驚きとが一緒だった。
何だ彼女は私より一つ上なのか。
以前思っていたより歳の差が知事待った事に何か期待のようなものがあったが、その頃の1歳の違いは大きな重みを持たせた。男女が逆ならそうでもないが。
でもいいや、又1年間通学で会えるのだから。

続く

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