ダブルX-02／癖になる

そんな事をぼんやりと考えていた
「何時が宜しいですか？」
「今は無理でしょうね？」
「彼方ですか？」
「はい」
「・・・・・いいえ、大丈夫です」
「だったら、お願いします」
「どうぞこちらに」
案内された部屋には、ちゃんと施術用のベッドが有った
それと隅にはカーテンで仕切る着替えのスペース
「ここでスラックスとシャツを脱いで、このガウンを着て下さい」
「着替えられたら、お声をお掛け下さい」
着替えましたの声で、カーテンを開く
「うつ伏せでお願いします」


何も言う前に、首から足首までゆっくりと摩って行く
「右の首と肩それに腕。　腰はずれています」
「右脚が少し短いですが、事故ですか？」

驚いた
「少し触れるだけで、分かってしまうのですか？」
「プロですから」
「小学校４年の時にトラックに轢かれ、右の太腿が折れました」
「なる程、成長期。だからですね」
「両足均等に体重が掛からないんです」
「右の腰が何時も痛だるいでしょう？」
「はい」


４５分が経ち、今日はここまでになった
「とても楽になりました」
「そうですか？良かった」

それからは週に一度は通う事になってしまう
余りにも気持ちがいい
今日も電話で予約しておいた時間に来た
もう、１０回目くらいだろうか？
いや、もっと来ている
最初は隣の公園でセミが煩かった
今はもう紅葉だ