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父との思い出(その1)

2025年11月28日 00:41

父との思い出(その1)

父は20年前に82才で他界した

父は、1923年、関東大震災の年に旧満州中国北東部)で生まれた
父方の祖父母が、満蒙開拓団として大陸へ渡っていたためだ

父が22才の日本敗戦の年に福岡へ引き揚げてきた


父は大陸育ちということからか、ちっさなことにこだわらないおおらかな性格だった
たまに冗談で怪しげな中国語を喋っていた 笑

私が18才の時、大学進学のため福岡から京都へ行き、その後大阪就職したため、父との思い出の記憶は、私の子どもの頃と父が亡くなった時のものが多い


エピソードを一つだけ話す

私が小学生の頃、父は私をスクーターの後部座席に乗せて、よく山に連れて行ってくれた

山と言っても登山をするのではない
道のない藪の中を、ナタで生い茂る草を叩き切りながら、進むのだ

そして、飯盒炊飯をし、鯖缶等をオカズに食べる
とても美味かった


ある時、私がキリギリスを捕まえた

すると、父は近くの茎の長い草と茅の葉っぱを手際よく切り、あっと言う間に虫籠を編み上げたのだった

私は嬉しかったと言うより感動した

この時、私は父がスーパーマンに見えた
そして、自分もこんな大人になりたいと思った

他愛もない話だが、今でも忘れていない



自分の加齢とともに、薄れていく父の記憶を留めておきたいと思った

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