「サナエノミックス」はじまるよ！！

「台湾有事」発言で思わぬ難問を抱えてしまった高市政権の「経済政策」の概要が示された。
若者たちが、今の自分たちの生活苦を打開してくれるのではないかと期待に胸を膨らませていた「目玉政策」だが…どうだろう？

ちょっと早いかもしれないが、私の見立てをつぶやいてみる。

結論は、「残念ながら、これでは皆さんが期待している物価高による生活苦が解決するどころか、さらなる物価高を招くことになる」だろう。

やってみる前から、そんなこと分かる訳ないだろうと言われるかも知れないが、およそ予想できてしまう根拠はある。

それは「サナエノミックス」が「アベノミクス」をお手本にしているからだ。

まず第一に、今の私たちの生活苦は「アベノミクス」がもたらしたものである。
それに加え、「アベノミクス」時になかった物価高が、「サナエノミックス」の失敗の確率をさらに高めてしまうだろう。

では、順を追って見てみよう。

1.「アベノミクス」は何をした？！

2012年12月から7年8ヶ月に及ぶ第2次安倍政権は、自分が任命した黒田日銀総裁（当時）に紙幣をじゃんじゃん刷らせ、国債や株を大量に買うという世界でも例を見ないリフレ政策の社会実験を進めた。
彼らの描いたストーリーは、世に出回るお金の量を増やせば、物価が2%くらい上がり、賃金も上がって景気がよくなるというものだった。

2.結果はどうなった？

当時、安倍首相は繰り返し「やがてトリクルダウンで成功の果実が低所得者層へと落ちていく」と言っていたが、ついに絵に描いた餅に終わってしまった。
お金は大企業や富裕層に集中し、中小企業や低所得者層にお金が回ることはなく、経済格差が拡大することとなり、日本の内需を支えてきた中間層がゴッソリと下層へ没落し固定化されてしまった。
労働者の実質賃金は先進国でも最低ラインになり、消費は低迷してしまったのだ。

3.今も残る傷跡

安倍首相は「円安」によって外国人観光客が増え、観光立国となると自慢していたが…
何のことはない、あらゆる通貨に円が負け、「安い日本」になってしまった。
インバウンドは増えたでしょう。外国人富裕層による日本の不動産の買い漁りも増えたでしょう。みんな「アベノミクス」の「成果」です。
これらの事態を、安倍首相を師と仰ぐ人たちが由々しきことだと外国人排外の声を荒らげているのは、なんとも皮肉で滑稽なことだ。

「アベノミクス」は、政府、日銀に「打ち出の小槌」があるかどうかを試す賭けだった。しかし、それはなかった。そして、その代償はあまりに大きかった。

日銀は「物価の番人」としての役目を果たせなくなった。物価高でも利上げが遅れ、それが円安をもたらし、ますます輸入物価を押し上げている。
カジノ化した株式市場は、「経済の体温計」とは言えなくなった。

4.「サナエノミックス」！なにこれ？！

物価高対策として見えてきたのが、◯ガソリン暫定税率廃止（これは石破首相の時に与野党合意されていた）◯電気、ガス3ヶ月間の補助金◯重点支援地方交付金。プレミアム商品券、マイナポイント、おこめ券等。
これで生活楽になりますか？
こんな一過性の手当を期待してましたか？

この他に「政府投資の拡大」を進めていて、ＡＩ.半導体.造船.エネルギー安保等の17分野での「危機管理投資」を打ち出している。
「重要物資を海外に頼らなくても済むよう国内生産を強化する狙い」だと言いますが、そもそも生産を海外に依存している一番の理由は、トータルコストが安いからであり、それを日本生産にしようとするとコストは高くなる。すなわち物価は高くなってしまう。


「アベノミクス」の巨大な負の遺産。保有する上場投資信託の売却には100年以上かかる。また、保有国債（国の借金）を大量に売却すれば国債価格が急落し、新規国債発行に支障が出かねない。一歩間違えば財政危機、金融危機を招くリスクすらある。

高市政権の経済ブレーンの面々、いまだに「打ち出の小槌」を信じ続けるリフレ論者ばかり。
「アベノミクス」の敗戦処理に取り組まなければならない時に、「サナエノミックス」が「アベノミクス」を再始動するならば、今度は致命傷になるかも知れない。