Cafe Bij Bea in Den Haag 29-03-06

先週に続いてまた性懲りもなく出かけた。　家でおとなしく新聞かテレビを見てればよかったのだろうが、風呂に入ってワインの酔いもすっかり抜けたら、夕空の透き通った蒼に誘われて、出かける気になった。　そこで車のスロットに放り込んだのは；

Ｌｏｕ　Ｄｏｎａｌｄｓｏｎ　／　Ｂｌｕｅ　Ｗａｌｋ　／　Ｂｌｕｅ　Ｎｏｔｅ　ＣＤＰ　７　４６５２５　２　／　１９５８　

４曲も行かないうちに女王の執務室の裏庭に沿った街路、日本レストランの前あたりに一つだけ駐車スペースを見つけてすぐさま２ユーロをパーキングメーターに入れれば明日の朝まで一安心。　女王は息子の嫁をつれてアルゼンチンに公式訪問の最中、別段ここは動きなし。

９時から始ると聞いてきたのに１０分ほどまわって入っても誰もいない。　それで仕切り人のＰｅｔｅｒ　Ｂｅｅｔｓが自分で椅子をあちこち動かして準備中だった。　仕方がないので大きな革張りのソファーが３つほど並んでいるところで食後に飲んでいなかったコーヒーを飲んでいると、隣町のジャズ同好会のおっさんが横の自分の定位置のソファーにどっしりと腰を沈めて軽いマリファナの入った紙タバコを吸い始め、いい匂いがこちらに漂ってくるなか、ペーターの兄、マリウスが今日はベースで来ている。　そういえばこの兄弟が一緒にやっているのを聴いたのは随分前で記憶にない。　マリウスは私の町で１０月から後でもルー・タバキンのときも、リー・コニッツのときも演ったのだから、それにオランダのジャズメンとやったのは沢山聴いているのだけど兄弟でやったのをきいたことがあったろうか。

ピアノトリオで聴衆の方が少ないというのは今まで経験がない。　それでも２，３曲指慣らしをすればぼちぼち人数も増えて、それでも関係者、音大の学生たち、暇な熟年ばかりだ。　ペーターの指慣らしの数曲はおもしろかった。　聴衆がいないのだから、好き勝手やるのだし、兄弟勝って知ったる呼吸のよさ、飛ばしに飛ばす、５０年代というところ、酒も飲まずに、ガーナー、テイタム、パウエル、ニューボーンＪｒ．、ケリー、勿論ピーターソン、おどけてマッキャンからアーマッド・ジャマルというあたりを弾きこなしていくところはなかなかいい。　　まあ、Ｉ　ｒｅｍｅｍｂｅｒ　Ａｐｒｉｌ，　Ｉ　ｒｅｍｅｍｂｅｒ　Ｃｌｉｆｆｏｒｄなど指のむくまま、連想のはたらくまま飛ばしていく。

第二セットはジャムセッションで誰でも入って好きなように競うわけだが、ペーターは下手なドラムに一生懸命だったり兄が休憩すると急遽ベースに変わり、これはドラムよりはマシなので耳障りにはならない。　そこに前途有望のアルト、Ｔｏｍ　ｖａｎ　Ｚａｌｅｎ君が入って誰かがＢｉｌｌｉｅｓ　Ｂｏｕｎｄをやろうと言い出して始めるのだが、このまだハーグの音大、ジャズ科に在籍の２０になったかどうかというトムくん、今まではアートペッパーばりをいくつか聴いたのだけど、この日はヤナギサワのソプラノでコルトレーン張りも試みるし、ショーターも聴いているのだろう。　あと２年ぐらいしてからが楽しみだ。　その友達のまだ中学生ぐらいにしか見えない男の子にしても小さいときから鍛えられてきたのだろう、タイナー、ハンコックを聴いている事は明らかな音を出してペーターからほぼ１０年時代を戻したようだ。　このあと小型の古いギブソンのジャズギターを抱えたベン・ニコラス君たちとコンファメーションをやってピアノトリオ、２テナー、１アルト、１ギター、ペーターのピアニカでわいわいと賑やかなことだった。

騒音の苦情から警察が入る前に終わるから、とペーターが前に懲りたからか、おとなしく１２時に終わり、先週に比べて春の兆しが大気に漂う中、帰りの　シナトラ、デイヴィスＪｒ．，マーチンの　

Ｒａｔｐａｃｋ　Ｂｏｙｓ　Ｎｉｇｈｔ　Ｏｕｔ　／　ＥＭＩ　７２４３５　７０８９０　２　９　

を入れたのは　Ｊｅｓｓｅ　ｖａｎ　Ｒｕｌｌｅｒの名盤　Ｌｉｖｅ　Ａｔ　Ｍｕｒｐｈｙ’ｓ　Ｌａｗ　のそのカフェあたりだったろうか。　ここはよく前を通るのだけど中に入った事はまだない。　


Ｐｅｔｅｒ　Ｂｅｅｔｓ　　ＨＰ
http://www.peterbeets.nl/index.php?quicklink=home