- 名前
- ヴォーゲル
- 性別
- ♂
- 年齢
- 74歳
- 住所
- 海外
- 自己紹介
- もう海外在住29年、定年もそろそろ始まり、人生のソフト・ランディング、心に浮かぶこと...
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Cafe Danzig & Cafe Bij Bea in Den Haag 22-03-0
2006年03月23日 23:36
22−03−06
Ackvan Rooijen (fl.h.) Cafe Danzig in Den Haag
Juraij Stanik (el. p)
Cees Stirk (ds)
Renevan Beeck (b)
Peter Beets (p) Cafe Bij Bea in Den Haag
Ruud Jacobs (b)
-- (ds)
この二週間ほどハーグのジャズシーンが少し変わってきた。 先週 C.Slingerのピアノ伴奏で若手女性歌手のSaskia Groenebergがカフェ・ダンツィッヒにおいてスタンダードを9曲ほど歌い、第二セットのジャズセッションが始るまえの休憩の際、隣に坐っていた若手才能のピアニスト、レンブラント・フレーリクスに次は君かい、と尋ねると、いや、これから新しいところでジャム・セッションやるから、ちょっとここに様子をみにきてたんだわ、あんたもいっしょにいかないかい、ペーター(ベーツ)が仕切ってるんだよ、というのでそれに興味を惹かれ旧市立図書館の一部分にある小さなカフェ、ベイ・ベア(Bij Bea)に車をまわして落ち着いた。 ほんとに小さなカフェである。 入ると右手に4,5人坐れるカウンター、左にすぐ新しいアップライトのピアノを置いてあり前面をはずしてむきだしにして、ペーターの顔がまん前にあり、機嫌よくピーターソン、パウエル、ニューボーン調でスイングしていた。 ベースはリタ・ライス、ピム・ヤーコブス4のベース、故ピム・ヤーコブスの弟、ルード・ヤーコブス、観客は若手のジャズメンと長屋の隠居風、ジャズの目利き年寄り数人、20人ほどで誠にい心地よさそうだ。
なるほど、このトリオ、こんどの日曜日、ライデン市近郊のホテルのデイナー・ショーでオランダ最高の女性歌手グレーチェ・カウフェルドのバックをつとめるし、今までもほかのコンサートホールでもリタ・ライスのバックを勤め、この日のトリオはそのための息を整える意味もあるのだろう、と察した。 ペーター・ベーツはジャズオーケストラ・オブ・ザ・コンセルトへボーの常任ピアニストであり、毎月第一日曜日の定例コンサートの折もソロパートが回ってくれば早弾き縦横無尽で皆からやんやの喝采を浴びるのだが、この人、自分の按配するトリオではもう幾つもニューヨークトリオなどの名前でCDを出していて、通の間では評判がいいのだが、それらに増してこのような雰囲気の顔を見知った小さなサークルの中では100%尽きることのないエネルギーと陽気さ、それに加えて歌心のしっとりとした、普段みせることのない貌を見せるのだった。
わたしがここに着いたのはもう10時をかなりまわっていた上に駐車スペースを捜すのに手間取ってうろうろしていると、同時にダンツィッヒをでたのだが私は一方通行をいくつも潜り抜け、一方は中心をまっすぐ横切ったレンブラントの自転車に目の前を通り抜けられた程だった。 このBij Beaという名前は ベア(トリクス)のそば、という意味でそれはオランダ女王、ベアトリクの執務室、宮殿のそばだからであり、昼間はしばしば世界に200弱程ある国の新任大使が着任の度に4頭だてかのきらびやかな馬車で挨拶に参上するところでもあるのだ。 幸いなことに昼間の喧騒はないものの現代の車を停めるところに苦労する。
入れ替わり立ち代り新人の元気のいいトランペット、各種サックス、トロンボーンなどが各自の技を披露して喝采を浴び、真夜中に近づくにつれ徐々に熱気があがると、その晩はライブの第一回目だったらしく、階上、隣の店舗、ホテルから騒音の苦情があるのだといって、新米雇われバー責任者が皆に音を小さくしてくれと楽士連中に懇願しているのだが、ベースの小さな増幅装置を除いて皆、マイク無しで演奏しているのであり、音楽の強弱はすでに考慮のうちであるのだから、ばからしいとあきれられている。 そのあと、また、べつの従業員がもうこれで終了とがなりたて、陽気にこの警告を無視して一層元気よく駆け走る楽士たちと険悪なムードになるので、おもしろくなってきたなと心では喜んでいたものの、これはなんだ、これでこの企画もここから追い出されて、このあいだ2ヶ月ほどで閉めた、この連中が根城にしようとしていたジャズカフェと同様、またもやジャズのセッションが出来るところの灯が消えるのか、と危惧したものだった。
終わってからベーツに来週もやるから、来てくれと言われ、君たちももうこれないのじゃないかと尋ねると、いやいやこのカフェーも誰も来ないより10人でもこうやって客がくると日銭がはいるから我々を拒めないのだ、それにダンツィッヒは入れ物が安定してるけど客が50人いても聴いてくれる人が何人いるんだい、張り合いがないよ、ここは皆一生懸命聴いてくれるから続けたい、との返事だった。
なるほど、ダンツィッヒに行くときはいつも一番前の席に座り、後ろの方は見ないから様子がわからないけれど、ときどき若いグループが大声ではしゃいでいるときもあり、そういうのがステージから見えればやる気も削げるのだろう。 それに、ジャムセッションになれば出演料も出るわけでもないのだからそういうことに我慢する理由もないと言うことだ。
ダンツィッヒではこの日、オランダにバップをアメリカからもたらした、当時シンフォニーオーケストラのトランペット奏者で50年代初頭アメリカへの演奏旅行の折、自分の音楽はこれだとジャズに転向、その後半世紀にわたりヨーロッパ各地でビッグバンドやオーケストラに欠くことのできないほどに大活躍のフリューゲル・ホーンの名人アッカ・ファン ローイエンのまことになめらかな気持ちのいい演奏を、これまた30代半ばに入る才能、ユーライ・スタニックが新鮮なモード、コードの演奏で加わるというものを40分ほど聴いて、またもや、先週と同じところに車を停め、まことに快調なベーツ、フレーリクスを中心にしたセッションを楽しんだのだった。
それにしてもハーグでは30代のいいピアノがめじろ押しだ。 本当はこの日はアッカ・ファン ローイエンとロブ・ファン バーヴェルの共演だったのだがロブの家族になにかがあり来られなくなったのだそうだ。 ロブの伴奏で歌った、オランダでは数が少ない男性ヴォーカルの一人、Ronald Douglas の最新CD Lotus Blosson BMCD 472 では若手サックスのJoris Roelofs とともに鮮やかな音を出してジャズ雑誌の評では5つ星を得たのだが、そのCDについて一つ二つ質問があったのだがそれはまた次の機会にするとしよう。
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