男という人種は何をもって性欲の対象を見つけ出すか？について深く考えない、考えたくないひとびとのこと。

「あたしねえ、生まれてこのかた、片手が余るぐらいしか
あったことないのよね」
「あ、痴漢？」
「そうそう」
「あ、あたしもあたしも」
「５ぉ４・・・三回、ぐらいかな」
「あ、あたしもあたしも」
「なんかやっぱり、出てるのよね、きっと
触るなとかそういうガードのオーラが」
「あ、あたしもそうだと思う」
「ね」
「ね」

・・・ふうん。
サワジリと、ホリキタ
とか、
ガッキーと、アオイ、
とか、の会話なら、
なんならうなずいてやってもいいけど。

不在者のわるぐち
仲間以外の噂話
若い子、群れないもの、
気の利かない上司や、
融通を利かせない出入り業者
そんなものをまないたの上で
ぐちゃぐちゃにすることが
何よりも好きで、

かたや眉間にいつも深い縦ジワをくっつけた
越冬なつみかん
かたや肩までのウィッグをつけた
南米かポリネシア生まれの三木のり平、ではなぁ・・・

無いんだ、キミたちんち、鏡。
聞きながら、そう思った、メシ時の会話。
思わずいってあげようかと思った。

健康なおとこのこがさ
どうやって、ピンナップガールを
しなさだめ、するか、知ってる？
アダルトビデオを、
どうやって選ぶか、
知っている？
・・・とか、なんとか。

ま、その辺り、聞こえないふりをするに
違いないけれども。

二人は
アラフォーどんぴしゃり。
まぁ年齢とは関係なく、美しくない、というよりも、
醜さが隠し切れない、隠そうとも思っていないひと、というのは、
人目をはばかる、のではなく、
人目を惹けない、という避けがたい無聊から
身を護りたいという防御本能に基づき
こうやって自尊心を護り、
結果として、
誰にもなんにも言われないことをいいことに
どんどん、面の皮を肥厚させ、
ますます、厚かましく
際限もなく恥からも、客観性からも
遠ざかり、
やがてアンタッチャブルに
成り果てる
その姿をひとは
おばさん、と呼ぶ。

・・・いけない、ひとつ忘れていた。
彼女たちの特性は
むやみやたらと付和雷同を重ねることのできるもの同士で
必ず群れたがる、ということである。