いま、ボクが欲しいもの

寒風が土ぼこりを巻き上げ
緑少ない、公園とは名ばかりの
かつてホームレスが謂集していた
美術館の脇道を進み
茶房にて、
御膳汁粉と甘酒

神田竹むらにすればよかった
などと思えど、あとのまつり

隣に、フランス人亭主、日本人妻、
父によくにた20そこそこの弟
母によくにた、グラマラスその姉の家族
弟、ひげがうっすらと生え、かなりイケ面、
正座が苦手で、途中から腰を浮かし始める

「あっちにいけば、あんなのばっかだぞ」

と、不埒な父は、あらぬ方向から留学を薦めるが

「お金、ないもん」

借金してでも、いくべきだ、という父親は
うまくソロバンが弾けず
不況の最中、向学心に燃える娘に
何も応えることができない。
必然的に、大学生の目は
海の外、ではなく、院に向いている様子
学外に出るつもりもなさそうだ
たしかにそれは賢明な道かもしれない
国内にいる限り、それ以上は望めないであろう

帰宅後、ＤＶＤコピィ

暖房を入れる気にならず、
足元の寒さをしのぐため、を自分への口実に、
飲酒しつつ、企画書手直し
きりがない
後一本は、無理か


何を見ても
寒々しい

帰るべき場所を喪った鳩は
どこを目指し
飛び続ければよいのだろう？

明日無き日々

いずれ空高くから
紅い灯に目をくらませ、
酒におぼれるか

ただ温もりが欲しいだけなのに・・・