ジェラシー、およびそれにまつわる生理について

どこか遠くを見つめるような面持ちで
ボクが
つ
と、手を添えて差し出す椅子に
気づくこともなく
向けられた、視線の先には

満ち足りなさも
もの欲しさにも
縁遠そうなふりをして

妊娠させた女性が
その後、どうなったか
知りませんけど、
なんてうそぶく、
とてもセックスが好きな
市役所職員、
という形容が似つかわしい男が、
にやにやと、キミの言葉に
耳を傾ける

ボクは、その間に結ばれた
見えない紐帯に、
嫉妬を隠しきれず、
なんだか、
吐き気さえ、催して

なんびとにも
気取られぬよう
場を辞する

まるで、表向き
何事もなかったかのように、

ぐしゃぐしゃと
踏みにじられた
ひと粒の、
いちご、みたいに
心臓の、辺りから

いたましく、
みっともなく、
みすぼらしく。
しずるたっぷりの
赤い血を滴らせながら・・・