- 名前
- tarashi
- 性別
- ♂
- 年齢
- 57歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- 外見はまじめ。60歳代だけど禿げてませんよ。小柄だけど、体力あります。性格はのんびり...
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タクシデルミア ある剥製師の遺言
2008年03月31日 00:13
これは三代の男たちの「欲」に取りつかれた物語なのです。祖父はモロジョゴバーニ・ヴェンデル、彼は第二次大戦中に中尉の家のトイレに棲みついて、中尉の家の肉体労働をすべてしています。彼の慰みといえば、蝋燭の炎で自らの毛を焦がしたり、炎を口から吸い込んだりしながら、中尉の娘たちの入浴姿(やどういうわけか雪合戦に欲情したりして)を見ながら自慰をすることです(映画のはじまりが、ペニスから炎を噴射するシーンなのですから)。彼は愛を知らず、愛されることに欲望を持ち、ブタを抱きながら嘆きの歌を歌います。そんな彼が中尉の妻に誘われ関係を持ちますが、中尉に知られ拳銃で頭を打ち砕かれます。
中尉の妻は尻尾を持った太った男の子を産みますが、これがバラトニ・カールマン(っちなみに、たぶんハンガリーの名前は日本と同じで姓・名の順だと思います)で、尻尾は養父である中尉に生まれてすぐに切られていますが、豚のように成長し、大食いの国際大会(これがソ連と戦うというまさにソ連・ハンガリーの関係を暗示するものです)の選手になります。試合の合間には選手たちがゲロをはくのですが、これがしつこいくらいよく出てきます。そんな彼がライヴァルと戦って勝ちとったのが、やはり大食いの女子部門の選手ギゼラです。二人はすぐに結婚するのですが、ギゼラは問題ありの女性で、新婚なのにかつての夫のライヴァルと浮気をしたりします(第三部で、彼女がアメリカにわたっているのがテレビニュースに出ています。おそらくアメリカの選手と逃げたのでしょう)。カールマンとギゼラとの間に(本当は誰の子か?)生まれたのがバラトニ・ラヨシュです。彼はひ弱な体型で、スーパーのレジ係の女性にも相手にされない剥製師です。しかも、彼はひとりで太りすぎて動くこともできなくなった父親とその飼い猫の世話をしなくてはなりません。このラヨシュの持ち物がすべて剥製でできているのは秀逸ですよ。ラヨシュは何か、とんでもない剥製を作ろうとしているのですが・・・・。
カールマンの死んだシーンもなかなかすごいですし、またラヨシュの作った機械が作動して、ラヨシュの・・・が凄惨とも精密とも言えるシーンです。
ラヨシュもまた愛情を求めて得られず、剥製という技術にとりつかれていたのでしょうね。
祖父のパートでの、幻想的なシーンがものすごく斬新で、マッチ売りの少女のポップアップ絵本が実写となるシーンなど感心してしまいました。また、かれがのぞき見をする中尉の娘たちが入っていた木製の浴槽の回り舞台のような変身のシーンなど見事です。
父、カールマンの大食いのシーンも下品を追及してむしろ滑稽であり、見ものです。
ただ、最後の剥製師(剥製術っていうのがタクシデルミアという言葉の意味らしいです)ラヨシュのパートは・・・うーん、ちょっとエネルギー切れっていうのかな・・。
うーん、おしいなあ。
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