ファーゴ　ノー・カントリーを見る前にぜひ

さて、ファーゴも今更っていう感じですが、ノー・カントリーを見る前の予習として必須かな？と思いまして。
　まず、ＥＲのウィリアム・Ｈ・メイシーが演じる自動車ディーラーの営業部長ジェリーがいい味出してます。彼は、なんか借金をたくさん作ってしまい、それをチャラにするために自分の妻を誘拐してもらって、その身代金を義父に出してもらうという計画を思いつきます（本当に思いつきですね）。で、自分の会社の修理工（前科持ち）シェフの紹介でごろつきのカール（スティーブ・ブシェーミがほんとうにうまい演技してます）とその相棒であるゲア（ピーター・ストーメア）に、誘拐話を持ちかけ、手付として新車のシエラを渡します。
　うまく誘拐したものの、道でパトカーに止められてゲアは躊躇なく警官を射殺し、たまたま車で通りがかった２人連れの男女を追跡し、これまた射殺します。
　さあ、後は、滅茶苦茶です。
　ジェリーの義父は身代金を自分で持っていくといってきかないし、そのことをカールは知らないものですから、義父とカールは撃ち合いになり義父は死んで、カールも顔に負傷します。
　一方、警察は妊娠８か月の署長さん（ジョエル・コーエンの奥さんでもあるフランシス・マクドーマンドがこれでアカデミー賞主演女優賞受賞）がジェリーを訪問し、こらえきれなくなったジェリーは逃走します。
　アジトにもどったカールが見たものは、人質を殺し、悠然とテレビを見ながらジャンクフードを食べているゲアでした。そのカールもゲアに・・・。
　聞き込みから情報を得たマージ署長が偶然、犯人達のシエラを発見し、アジトに近づくと、なにやら機械音がして・・・・。
　白い雪原を逃げだすゲアと、おなかに気をつけながらそれを追跡し、射撃するマージ。きれいないシーンです。
　マージとその夫ノームの寝室が何度か写り、これが幸せなのだということをラストに改めて訴える構成です。
　達者な役者ばかりで、脚本もすばらしく、人間っていうのは一つ失うと、それを取り戻そうとして、さらに失ってしまう（これはノー・カントリーの中のセリフです）哲学が見事に表現されています。