- 名前
- tarashi
- 性別
- ♂
- 年齢
- 57歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- 外見はまじめ。60歳代だけど禿げてませんよ。小柄だけど、体力あります。性格はのんびり...
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変態村 形而上的ホラー(?)映画
2008年03月22日 11:59
誰からも愛される青年マルク(顎がしゃくれてますがハンサムなローラン・リュカが演じてます)、彼は老人ホームを回っている歌手なのですが、老婦人たちも彼に夢中です。そんな彼がクリスマス前に南仏に車で移動途中に車がエンコしてしまいます。そこへ通りかかった精神薄弱の青年ボリス(ベラという犬をさがしまわっています)に案内されて近くの宿(バルテルという初老の男がやってます)に辿り着きます。このバルテル、親切そうなのですが、散歩に行こうとするマルクに「村には近づくな」と忠告します。散歩中のマルクの車をバルテルは勝手にいじりまわし、マルクの携帯電話を盗み、彼の持ち物をさぐります。このあたり、バルテルがただの悪い男というより、すでに常軌をいっしていることを暗示しています。一方、村に近づいてしまったマルクは、飼育場(牛や豚がいます)で動物相手に交尾している村の男たちを盗み見します。
その夜の食事中に、マルクに自分の(逃げられた)妻グロリアのことを話すバルテル。妻を宝と表現します。幸せだった日々をマルクに話すのです。マルクはバルテルに請われて歌を歌います(しぶしぶです)。その歌が、他の男の下に逃げてしまうかもしれない女性を歌った歌であり、バルテルの表情が変わるのですが、このあたりからちょっと怖くなります。
朝、起きだしたマルクは、宿の電話が通じていないことに気づき、さらに自分の車が壊されているのを発見します。バルテルを問い詰めようとしたマルクですが、バルテルはマルクの車を破壊し火をつけ、かけつけたマルクを暴力で抵抗できなくさせます。「なぜ戻った・・」という言葉をつぶやきながら(グロリアとマルクを混同しているのです)。気をうしなったマルクの服を妻の服に着せ替え椅子にしばりつけ、髪を切るバルテル。ただ泣き続けるマルク。
バリカンでマルクの毛を刈りながら「お前を守るためだ。本当はお前を醜くしたくないんだ」とつぶやくバルテル。醜くすることで、マルクが誰かから盗られることを防ごうとしているようです。ベッドの上で号泣するマルクの横に横たわり愛撫するバルテル。
マルクはバルテルのすきをみて逃げ出すのですが、山中で動物を捕るための罠にかかってしまいます。哀れマルクは見つかって、納屋の木枠に張り付けられてしまいます(釘で手をうちつけられているようです)。
興奮したバルテルは村の飲み屋に行き、居合わせた村の男たちに「おれの女房に手を出すな」とわめきます。バルテルが去った後の村の男たち(この表情が異様です)は飲み屋でふらふらと体を左右にゆする不気味なダンスをおどります(伴奏のピアノ曲は意外と現代的でいいです)。
宿でマルクに食事を与え(いつの間にか架から下ろされてはいますが手は血だらけです)ていると、ボリスも奇跡的に探し出したベラ(あれ、犬のはずなのに子牛ですよ、これ。)も現れ、とてもナイスなクリスマスの晩餐となります。で、いきなり村人の襲撃です。銃を手にした村人たち(豚を犬代りに連れています)に助け出されるのですが、この村人たちの表情の方がバルテルより変です。いきなりマルクに銃とつきつけ「歌え、売い女!」ですから。マルク(頭を刈られた男ですよ)をグロリアと呼び、いきなりおマルクのおかまを掘り出すんですから。再び(今度は村人たちから)逃げ出したマルクですが、(絶対逃げられないのはわかりますよね)豚の鼻は優秀ですね、川を渡って匂いも断っているはずなのに追いつかれてしまいます。林の中では十字架にかけられて死んでいる人間の風景もありました。もう少しでとらえようとした村の男ですが、底なし沼に足をとられ、マルクの目前で沈んできます。それも「グロリア、愛していたんだ。愛しているといってくれ。」と言いながら泥の中に沈んでいくわけです。荒涼とした風景を写して映画は突然終わります。
マルクはあんな目にあいながら、しかもこの村人とはほとんど接触ももたなかったのに、沼に沈んでいく男を許すように男をみつめ、頷いています。
「変態村」という題名はあんまりです。恐怖映画ではなく、ある「愛」(これも結局は一方的な男たちの愛なんでしょうね)の姿であり、その「愛」の受難(CALVAIREというのが原題です)をこうむったのがマルクなのでしょう。意外といい映画(まったくおすすめはできませんが、不愉快ではない映画です)でした。たしかに「カルネ」などの映画に単なる暴力性以上の人間の愛の本質を感じ取るような人にはシンパシーをよせうる映画なのでしょう。
このデジログへのコメント
フィリップ・ナオンが出てたんで観ました
アタクシは同時収録されてた男の死体と暮らす女の話が好きです
BBさん。ノエは血がきらいなんで(屠殺シーンとか)苦手です。フィリップ・ナオンは圧倒的存在感ですね。
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