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Fくんの憂鬱 その1

2008年08月29日 00:59

Fくんの憂鬱 その1

「せんせい、あとで少し時間頂けますか?」
「あー、いいよ。どうしたの?」
「・・・いえ、後ほど・・・」

突然の申し出は、あまり浮かない顔のFくんです。普段はクールなFくん、そんな顔して、はりのない声で云われると、心配してしまいます。

アシスタントのFは、学生時代、私のゼミの中でも飛び抜けて優秀な資質を持っていました。Fの計画や思考は、当時から充分、アートとして世の中に通用するレベルのものでした。・・しかし、不幸にして、アートには『表現』と云う厄介な代物があります。いかに素敵な考えを持っていても、そのことを多くの人に伝えることが出来る『表現』を伴わなければ・・アートとして成立しないわけです。自分の思いが、作品にうまく繁栄出来なければ・・どんなにおもしろいことを考えても、誰にも伝わらない・・と云うわけです。ただ、幸にして『表現』と云うものは、訓練で、なんとかカバー出来る範囲のものもあります。・・実は、そういう含みもあって、Fには私のアシスタントをしてもらっているわけです。

2、3日前のログで、Fはおたく自分勝手などと書きましたが、・・まあ、おたくは置いておいて・・自分勝手には、多少わけがあります。正直に云って、Fはかなりネジまがった性格です。・・もっとも、私も人のことは言えませんが・・。実は、いろいろなことを裏側まで気付くFなのですが・・彼は、気付いていること自体を隠ぺいしようとしています。・・いくつかの原因がある様ですが・・私から言わせれば、単なるシャイと繊細さに対する反発だけだろう・・と・・。適度に無神経を装っているのは、自分が傷つくことを恐れて、必要以上のガードを張っているように思えてならないのです。・・・そのことが、Fの『表現』を解り難いものにしている要因なのですが・・。

とにかく、そのようなアドバイスも含めて、Fくんの話を聞きます。仕事をそこそこにして、雨の中、Pバーに二人で出かけることになりました。・・あまり、ウラっぽくない内容ですが・・続きは明日!

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