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約束

2006年01月26日 20:54

カフェでT君と二度目のお茶

初対面の一回目よりはかなりリラックスできた感じだった。
それはあのあと、こまめに彼が送ってくれたメールがよりお互いを知るきっかけになったのだと思う。私の携帯電話のメール受信ボックスは彼のメールで一杯だった。

あやのは黒がすきなの?」
紅茶が半分くらいになったところで、T君が言った。
「ん?うん、好きだよ。」
「そういえば、この前、携帯拾ってもらったときも、上から下まで黒だったな。そして今日も黒。なんで?」

少し考えてから私はこう答えた。
「何となく無難な感じがするから。明るい色、とくにパステルカラーとかは絶対似合わないから私。黒とかグレー、白が多いかなぁ・・。」
「似合わないんじゃなくて、似合わないと思い込んでいるだけだろ?」
「え?」
T君の顔を見ると、彼はにっこり笑った。
「この前あってから今までメールしてきて思ったんだけどさ、あやのって自分にあんまり自信ないだろ?」

あ・・・。この人見抜いてる。
私はドキッとした。
私は小さな頃から自分の容姿コンプレックスがあり、常に目立たないように目立たないようにと思ってすごしてきた。そのせいか、人としゃべっていて目を合わせるのが怖くて、話をするときはうつむくか、きょろきょろしてしまう癖がある。


T君は続けた。
「せっかく色白でさ、髪も綺麗だしもったいねーぞ。」
そんなことをさらっと言ってしまう彼。まだ会うのが二度目の人にそんなことを言われて私は顔がか~っと熱くなった。
「でも、顔がね・・。なんかのっぺりしてるでしょ。よく能面みたいだっていわれたりとか・・・。」
自分の言っていることが照れ隠しのようでばかみたいだった(笑)
「はい、そういうこといわない。いいか?能面は万能なんだぞ。お前、観に行ったことあるってメールで自分で書いてたじゃん。面は同じなのに角度や演技によって笑っているようにも泣いているようにもみえたって。お前だって、化粧を変えてみたり、洋服を変えてみたりすれば、もっと魅力的に見えるぞ。」
・・・・説得力あるなあ・・。この人。

あなたこそ不思議な魅力を持った人だね。

と私は言いたかったけど、あえて言わなかった。


「そうかな・・。」
「おぅ、俺の言ってる事を信じてみ。」


そんな私たちのやり取りを紅茶を入れながら見ていたマスターがこう一言。
「何だかほほえましい光景ですね。」
そんな言葉、久しぶりに聞いた気がした。

カフェを出て、二人でまだ散歩するには少し寒いけど、公園を歩いた。
「寒いけど、何だか気持ちいいな。背中がしゃきっとする。」
私の吐く息は白い。寒いけど、確かに何となく気持ちがよかった。

大学を卒業して就職してからのんびり散歩などしていなかったせいだろうか・・。いつもの空気とはちがって感じられた。
「うん。気持ちがいい。何か久しぶり、こんな感覚。」
「お、素直な感想だな。」

冬枯れで少しさびしい色の木々を二人で眺めて歩いた。
「ここって春になると桜が有名だろ?」
「うん。一回だけ来たことあるよ。お花見の時。すごい人だったけど桜がすごく綺麗だった。」
「たったの一回だけ?もったいねーな。近くにすんでるのに。」
「春は何となく憂鬱なの。精神的に不安定になるかんじで・・・。」

葉も花もつけていない裸の桜の木を見ながらT君はこういった。
「じゃあ、今年は俺と花見しようぜ。お前がいやだっていっても引っ張り出すぞ。」
「あはは、いいよ。」
「おし、約束だぞ。」
「うん。」
T君とだったらもしかして春は憂鬱ではないかもしれない。
そう思えた。


知り合って間もないのにこの人は私の性格やコンプレックスを見抜いた上で接してくれている。
明るくてやさしくて、ちょっときざでかっこつけだけど誠実さもそこにはあった。

不思議な魅力をもった人ね・・・。

私の少し先をあるく彼の背中を見ながら、そう心の中で思った。

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