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あなたに夢中

2006年01月30日 22:08

「一日おつかれ♪」
「T君もお疲れ様。」
変わらない笑顔に何だかほっとする。そしてあのいつもの不思議な匂いも私をほっとさせる。
あやのは嫌いなもんあるか?」
「ううん、特にはないよ。」
そう答えると、私の頭をぽんぽんたたいて
「よしよし、いい子だな。今日は俺の良く行く店にいこ。この前はあやののすきなカフェにつれてってもらったしな。」
とくったくのない笑顔で言う。

本当にこの人って素敵な人だな。
ずっと前から知っていた人みたいに一緒にいて安心できる。

連れてっていったお店は渋谷のちょっと細い道を入ったところにある居酒屋さん。
カウンターボックスが3つのこじんまりしたお店だった。
「お、ラッキーカウンターが空いてる。」
私も彼の後にくっついてカウンターに腰を下ろす。カウンターには焼酎日本酒のほかに、いろいろな果物の沈んでいる果実酒がならんでいる。その色がとても綺麗だった。
「初めはビールでいい?」
「うん。」
とりあえず、T君がお勧めのものを頼んでもらい、ビール乾杯した。
お通しビールでしばらくしゃべったあと、タイミングよく、焼き魚や揚げ出し豆腐、海老しんじょなどがでてきた。
あと、もう一品・・・・・。

T君が読み方を間違って私が読んで教えた料理があったんだっけ・・・。うーん。。。おもいだせない。というか、こんなこと今まで忘れていました。   思い出せない・・・。

二杯目に、彼は焼酎をロックで頼み、私は苔桃の果実酒のソーダ割をたのんだ。
飲み物も食べ物もとてもおいしかった。彼と話をしながらすごす時間はとてもいい時間だなと改めて思えた。

彼が少し酔ってこう言った。
「物を幸せそうに飲んだり食べたりするお前はかわいいな。」
「え?」
「かわいこぶって小食な振りしたり、酒に弱いふりをする女は俺、すきじゃない。あやのは素直においしいものをおいしそうに沢山食べるし、飲むし、いい感じじゃん。生きていくのに食べるのって大事なことだろ?それをおろそかにしないとこがいい。」
「えへへ。」
「当たり前のこといってんだから照れるなよ。」
かっこいいことさらっと言っちゃうなこの人。
言われてみれば確かにそうだよね・・・。

彼のそんな姿勢が見た目以上に彼をイイ男にしているのかもしれない。

そのお店には二時間ほどいた。

楽しい時間はいつもあっという間だ。
お勘定を済ませて渋谷駅へと二人で歩く。酔った熱い顔には二月の風は気持ちがよかった。

いつまでも駅につかなければいいのになぁ・・

と心に願ってみてもあっという間に渋谷駅(´・ω・`)ショボーン

「改札まで送るからな」
「・・・うん。」

ちょっとさびしかった。
彼のあとをついて歩いていく。私が乗る線の改札はもうまもなく。

「・・・・そばにいて。」

と小さな声で言ってみたけど、駅の雑踏にかき消されて彼の耳へはとどかない。

「さて、気をつけて帰れよ。お姫様。」
T君が振り向いてまた私の頭をぽんぽんとする。
「・・・・・。」
「ん?どした?」
黙っている私に彼が顔を覗き込んだ。
酔った勢いもあって、私か彼の肩の方に頭をくっつけた。

「バイバイしたくないなぁ・・・。T君。」
「嬉しいこといってくれるじゃねーの。あやのちゃん。」
しばらくの沈黙の後、こういってみた。
「今日、そばにいて。」
こんなことを言っておきながら心臓がとんでもなくドキドキしている自分がいた。
「ん~。」
T君は少し考えたあと、
「よし、お前の家に一緒に帰ろうか。切符買ってくるからここで待ってろよ。」
と、すたすたと切符を買いに行くと私を連れてあっさりと改札を通った。
「明日は、土曜で休みだから、今日は一杯しゃべろーぜ。」
と、T君にっこり。
私もつられてにっこりした。

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