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事実は小説よりも生成り

2007年04月23日 17:50

私が23歳の時、婚約し渡米した。約半年遅れで入籍だけで、未だ式を挙げていない家内が私の所に来た。それより2ヶ月程前に家内が来ると言う事で、それまで居た安ホテルからアパートに移った。そこは会社の同僚でウォーレンと言う男の家の傍で、彼が探してくれた。彼は姉と母親の3人だが、姉は大分前に結婚し、彼と母親だけで住んでいた。当時彼は28歳で母親は60半ば位だと思う。毎日会社の帰りは彼が72丁目まで私を送り、そのまま大学院へ向かい夜遅くの帰宅だった。私は帰宅シャワーを浴び夕食を終えると毎日、メモ用紙、鉛筆それに英語辞書を手に彼の家に行っていた。そこで彼のお母さんと色々話をする訳ですが、その途中途中で解らない言葉が沢山出てくる。無論お母さんは私が未だ十分に英語が話せないので出来るだけ簡単な言葉でゆっくりと話してはくれますが、それでも所々の英語が解らない。私は首を傾げ「今のXXXXXXは解らない」と言うと、彼女は別の言い方をしてくれる。それで解る場合もあるが、尚解らない時は、その単語のスペルを聞き、ノートに書き、発音の問題でなくその単語自体が解らない時に初めて辞書を調べ、私の知っている数少ない言葉を並べ、遠回しな表現だが「そう言う意味か」と尋ねる。そうやって土日を除く毎晩通っていた。そしてそこで覚えた単語を次の日に会社での会話で出来るだけ多く使って話すようにして英会話を習っていました。
家内が来て直ぐに紹介し、それ以降は家内が毎日の様に行っていた。家内彼女を慕い、彼女家内を可愛がってくれて、家内彼女アメリカンマミーと呼んでいた。
4,5ヶ月が過ぎ、私は帰国する事になった。無論私も家内ももっと居たかったが仕方なかった。帰国後も彼女家内との間で2ヶ月に一度のペースで手紙のやり取りをしていた。帰国し1年半程で今度は香港赴任になった。単身での赴任だったが、赴任後半年程で私の滞在延期と同時に家内が一時香港に来て3ヶ月滞在した。家内香港に来る前アメリカ彼女に手紙で香港での滞在期間と住所を告げてあった。家内が来て1ヵ月半程した時、彼女から家内宛に手紙が届き「元気にしているか・・・」とか書かれてあって、直ぐに彼女は返事の下書きを日本語で書き始めていた。何時もそうだったが家内日本語の手紙を私が翻訳して、家内が自筆で書くのが常だったから。私は翌日出社し、その日の午前中に東京から電話が入り彼女が一昨日亡くなったと知らされた。
私は昨日彼女からの手紙を家内と一緒に見たばかりで信じ難かったのと同時に胸の中に何か暑いものが込み上げてくるのが禁じえなく、何と家内に切り出せば良いのだろうかと途方にくれた。その夜は残業もせず少し早めに帰宅したが、その途中でも何と話すか迷っていた。私自身も多少混乱状態で適当な言葉も言い方も探しあえず、帰宅後そのままを話した。家内の顔は急に形相が一変したが、一瞬信じられないと言う顔をしてから顔をくちゃくちゃにして私の胸に顔を埋め泣きじゃくった。
重く辛い一日だった。

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