- 名前
- nomiya8
- 性別
- ♂
- 年齢
- 80歳
- 住所
- 埼玉
- 自己紹介
- 私の酒は食前酒で飲むと陽気になり歌ったり踊ったり。信条は去る者は追わず来る者は拒まず...
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私と犬-2(ゴン)-後編
2009年04月11日 17:31
この犬は一見大人しいが、気性は荒い。新しい所に越して未だ門扉を設けていなかった。その前を近所の人が往来する。
この住宅街には犬を飼っている人も多く、犬好きな子供も何人か我が家の前を通りすがりに、我が家の犬に近付く。
犬にも機嫌の良し悪しがあるようで、何時もではないのだが、機嫌が良くない時に子供が近付くと、いきなり噛み付く。家族が傍に居ない時で、我々も直ぐにその事を知らず、近所の母親から家内が聞いてきた。
それを知ってから犬を今度は道路とは面しない反対側の庭につないでいた。
当時起業したばかりで顧客も少なく、私が不慣れな顧客開拓で車で走り回ってる事が多かった。
その日も2,3社回り、自宅も近かった事から、昼食を自宅でする事にした。
家内は出掛けてて一人で適当に食べて、今でテレビを見ていた。
すると急に犬の「ううう・・」と言う唸り声と直ぐに女の子の泣き声が庭の方から聞こえてきた。
私は何事かと思い庭を見るとそこに3,4歳位の女の子が犬の傍に立っていて泣いていた。
私は一瞬にして状態を理解し庭に飛び出し、その子を抱きかかえ家の横から表に出た。
隣の玄関先で隣の奥さんと別の女性が立ち話していた。
「済みません、この子はどちらのお子さんですか」と言うや否や「あっ!うちの子です」隣の奥さんの話し相手の女性が答え小走りに来て、私はその子を引き渡した。
そのこの頬に目立った損傷は確認できなかったが血が出ていた。
私は二人に事の事情を手短に告げると隣の奥さんが「じゃ私が病院に連れて行くわ」と言って私が行くと言ったのを制止し、その親子を車に乗せ出て行った。
「じゃ済みませんがお願いします」とその車を見送った。
その頃は携帯もない為、留守にしている家内とも連絡取れず、
病院から帰るのを待っていた。
1時間半程すると隣の奥さんが戻ってきた。症状を聞くと「大した事はないそうですから大丈夫ですよ」と言ってくれた。
それからアポの取れているお客の所を回ってから帰社し、家内が帰宅した頃を見計らい自宅に何度か電話した。漸く連絡の取れた家内に日中の出来事を話し、詳細は隣の奥さんが知っているからと伝えた。
その夜は早めに帰宅し、家内がやんわりと謝罪に行く事となった。もし話が拗れたら私が出て行くと言う事にした。
その奥さんがどの様にご主人に伝えたかは解らなかったが「我が家に門扉が設けてない事を攻められた」と家内から聞かされ我が家にも多少の非はあるとは認識していたが、一方的に言われたとの事に私は憤慨したが、一応話しは収まった様なのでそれ以上は何もしなかった。
その事件と前後し、色々無理も祟ってか私の目に異常が生じた。それやこれやで家内も心配し家内の叔父の紹介で、ある占い師に診てもらおうと言い出した。元来その様な事は全く信じない私だが家内の気が済めばと診て貰うこととなった。但し言われた事に大きな犠牲を伴わない事が条件だった。
その時の話として「私は家を出て東方に一人住まいする事、無論自宅に帰っても良いが泊まってはいけない。それと今飼っている犬を手放しなさい」との事だった。
帰宅し子供も交え話した結果、私以外の全員が「パパそうして」と言われしぶしぶ従う事となった。
そして我が家のゴンは家内の叔父が農家で庭も広いので、叔父に引き取って貰う事となった。
その犬は私に一番懐いていたので、数週間後私と家内で犬を車に乗せ叔父の家に向かった。私が運転で犬は後部座席だったので殆ど目を合わす事もなく叔父の家に付いた。
何も知らぬ犬は素直に下車し、叔父が用意していた地面に打ち込まれた杭に繋いだ。
私は持参した犬の餌を少し取り「ゴン、ご免ね、これからはここで可愛がってもらうんだよ」と言って餌を食べさせた。
未だその時点では犬は何も察知していない様だったが、私がそこから離れだすと、今までには聞いた事もない侘しいが強い声で泣き出した。私自身がその様な気持だからそう感じたのだろうか、その声を後ろに聞きながら振り返らず車に乗り、逃げるようにそこを後にした。
その時の事を思い出す度、その時の彼の泣き声が脳裏を横切る。
私にとても懐いていた彼を裏切るその辛さは二度としたくはない。
このデジログへのコメント
ゴンちゃんは気が弱かったんじゃないですか?縁がなかったんですねp(´⌒`q)
> のぞみさん
コメント有難うございます。彼は他の犬とも仲良くした事はなく、家族しか信頼していない孤独な犬だった様に思います。信頼していた私が手を下した様に思い、とても辛かったですよ。
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