デジカフェはJavaScriptを使用しています。

JavaScriptを有効にすると、デジカフェをより快適にご利用できます。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしてからご利用ください。

書籍:出世する武士、しない武士

2015年04月15日 23:51

書籍紹介。
今日の紹介は、大石学氏の著書です。


出世する武士、しない武士
岩波 邦明(著)


江戸時代の前は、武力・軍事力がものをいう戦国時代でした。
その後の江戸時代は、江戸幕府が庶民から武力を取り上げて、力による解決を禁止し、「公儀」として、民衆の生活を守ることになりました。
江戸時代は、現代とよく似た高度な組織社会です。
本書に出てくる武士たちのなかには、高い地位まで上り詰めた人もいれば、そうでない人もいる。
また組織から出ていく、いわゆる脱藩をして地位を築いた人もいる。
この差は何か。
現代を生きる大きなヒントになる一冊だと思います。
それでは特に参考になった話を紹介していきます。


●優秀な人材確保に成功した、徳川吉宗の人事システム改革案
徳川吉宗が考え出した「足高の制」というシステムがあります。
吉宗が、各役職にふさわしい役高を定め、任命された者の家禄が足りない場合は、在職中に限り、差額を支給するシステムを作りました。
これにより、家禄にとらわれず優秀な人材を登用できるようになったのです。
このシステムによって登用された大岡越前忠相は、家禄1920石から役高3000石の町奉行に就任し、江戸の庶民生活の大改革を行います。
まず、家禄の低い者が能力を活かせる役所として、勘定所がありました。
勘定所は幕府の農財政担当で、幕府領(幕府の直轄地)の管理を担当し、年貢徴収や訴訟などを扱う部署です。
役高3000石なので家禄が低い者でもなりやすく、能力を活かしやすい部署でした。
勘定⇒勘定組頭⇒勘定吟味役⇒勘定奉行という勘定所内部の出世コースが確立していました。
一方、このころ諸藩も財政危機の真っただ中にいました。
多くの藩で財政が破綻し、有力商人への返済が追い付かなくなったために、借金を踏み倒す大名も出現しました。
藩の中には、幕府よりも強い門閥政治が行われていて、人事的な構造改革が難しい藩もありました。
享保改革以後、藩も幕府と同様に能力主義登用へと変更を余儀なくされていきます。
膨大な借金を克服して立て直した藩として、熊本藩や米沢藩などが挙げられますが、藩主専制ではなく、優れた改革案を持つ官僚サポートしていきました。
このサポート官僚の多くは、門閥ではなく石高の少ない下流武士からの採用でした。
江戸前期は、門閥による世襲制政治でした。
しかし、社会不安が大きくなり、門閥の威厳だけでは立ち行かなくなった江戸中期、江戸社会は「能力登用」という身分を超えた人事システムに変わりました。
吉宗の時代は思想の大きな転換期でもあるのです。
吉宗の享保改革により、幕府財政を好転させ、黒字を増やしたものの、緊縮政策によるデフレ増税で庶民生活を圧迫することになりました。
吉宗の時代は庶民の不満が渦巻く中で幕を閉じますが、後世に残したものは少なくはありません。

●厳しい身分制度によって藩内部からの改革が困難だった土佐藩
坂本龍馬は組織を出て実力を認めさせることで藩の方針を変えました。
彼の考えた新国家体制案『船中八策』は明治政府の基盤となりました。
(P53引用)
硬直化した組織では芽をつぶしてしまいがちな人物を、活かす方法を組織は考えなければいけないですね。
逆をいえば、個人は硬直化した組織で、なかなか自分を活かせないと思ったら、転職するなり独立なり、その組織を飛び出す勇気も持っておいたほうがいいということです。

ドラマ鬼平犯科帳』の主人公、鬼平こと長谷川平蔵は、下には好かれたが、上には嫌われた。
鬼平の役職、火付盗賊改とは、江戸の町の放火盗賊専門の警察官のことです。
平蔵は町の人には気に入られていましたが、同僚や上司に嫌われ、なぜかそれ以上は出世できまでんでした。
平蔵が庶民にウケが良かったのには、検挙率が高いことももちろんですが、庶民に優しかったからでもあります。
平蔵が活躍した時代は、田沼政治の影響と天災によって、社会不安が大きく、治安が悪化していました。
平蔵は、捜査協力をしてくれる庶民をもてなしたり、同心や与力など部下たちの生活の面倒を見たりと、自分が借金をすることになっても、人の世話を焼きたい人でした。
悪を退治して庶民の味方になってくれる平蔵は正義ヒーローで、庶民の多くは平蔵に憧れていました。
その一方で、規則違反ギリギリで独断専行なところがあり、松平定信からは「山師」といわれていたり、平蔵の後に火付盗賊改に就任した森山隆盛からは「小ざかしい」と言われていました。
この理由として、平蔵は自分しかできない仕事のやり方を確立してしまったようです。
また、平蔵は高い検挙率を出し、優秀だったのですが、人事権を握る松平定信に嫌われたうえに、同僚にも嫌われ、出世が閉ざされてしまったのです。
庶民のヒーロー長谷川平蔵は、仕事はできても上司協調できず、そこがネックになってしまいました。
どんなに仕事ができて協力者が多くても、組織の中では組織内の政治もうまくないと出世はできないのです。

このデジログへのコメント

  • ひろsan 2015年04月16日 09:23

    平蔵でいいんじゃないでしょうか。(笑)
    お天道様は見ているってことで。
    龍馬は素敵ですが…。(><)

  • SYUZO- 2015年04月16日 17:27

    個々の能力の限界は
    組織で行うことが出来ますからね
    (  ̄▽ ̄)
    今も昔も変わらずですね

  • なな♪ 2015年04月21日 00:15

    ひろsanさん:そうですね(*^^*)

  • なな♪ 2015年04月21日 00:16

    SYUZO-さん:変わらない部分ってあるものですね(^^)/

コメントを書く

同じ趣味の友達を探そう♪

  • 新規会員登録(無料)

プロフィール

なな♪

  • メールを送信する

なな♪さんの最近のデジログ

<2015年04月>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30