インドカレーのくれた高揚感

さきほど、ちょいと夕食には早いが腹が減って仕方ないので、食事に出た。

ふらふら歩いているうちに、谷九のラブホテル街に入り込んでしまった。う、こんな無精ひげ伸ばして、青白い顔してるおっさんがこんなとこふらふらしてたら、ガチ怪しまれるだろうなと思う、どっちに行こうかな、ときょろきょろした。そしたら、パキスタン国旗が見えた。

パキスタン料理だぁ！羊のカレーが食える！と僕は口の中が潤っていくのを感じながら、ふらふらとその店に引き寄せられていった。オオカミか、おまえは？

まあ、日本のちょっと古い喫茶店みたいな雰囲気で悪くない店だった。僕は迷わず、羊のカレーを注文した。

そしたら辛さチャート見せられた。甘口が1で、大激辛が5。パキスタンの辛さなのか、日本の辛さなのか分らないので、とりあえず4の大辛のとナン、サラダを頼んだ。

で、その大辛はたいしたことなかった。激辛レトルトカレーの1.5倍程度とマイルド。あのチャートは日本の辛さだったんだと気づいた。

まあ、それでも美味しい。羊はカレーでにおいが消されているけど、ちゃんと羊の味がする。うれしい。

そしたら、店員さんが「辛くないですか」と聞いてきたので「あまり辛くないけど、美味しい」と答えたら、「もっと辛くしましょうか」ときいてきた。

ちょっと考えてしまった。

以前、アメリカのタイ料理屋で同じ質問をされて、"Pleasemake it veeery hot!"（す～んごく辛くしてっ！）と言い放ったら、タイ人にとっての激辛にされて、食うのに難儀したことがあるから。なんせ料理が見えなくなるほどに、あのタイの唐辛子かけられて、その上、可愛らしいタイ人のウェイトレスに「こいつ、本当に食えるのかねぇ」といった目で食い終わるまで見つめられてたんだもの！

辛さもつらかったけど、チョコレート色のミルクチョコレート色の美少女に馬鹿にされたうな目で見られながら、休み休み食べるのはもっと辛かった。

（最後まで食ったよ。ウェイトレスは目を丸くしてた。でも、その時には口の中が火事んなったけど、次の朝にはおちりも火事んなったよ。）

だから、ちょいと考えてから、6くらいに辛くして、と頼んだ。

今度は、口には心地よい刺激がある。おいしい。で、この程度なら、口もおちりも火事にならんで済む。

まじ、おいしかったす。食べ終わった後には、久しぶりに刺激のあるものと羊の肉を食べられたことで、幸せな気分になれた。結構な高揚感がある。そんな顔して、僕は家に帰るためにラブホ街を歩いた。今の方が、さっきよりがちヤバい雰囲気なんだろうけど、おいしいもの食べられたことからの幸せさで、そんなこと、頭に全く浮かばなかった。

ところで、僕はこんなに辛いものジャンキーなのに、何故か妹はハウスバーモントカレーの中辛が辛くて食えないという人だ。一体、ほとんど同じ遺伝子持ってて、なんでそうなるのか不思議に思った。