ベストはやめよう

最後に詰めるというのは、非常に大切だと思う。
オリンピックで金メダルをとるような人、最後の詰めができる人だと思う。

練習でケガをしてしまい、思ったような成果が残せない人、
プレッシャーで本来の実力が発揮できなかった人、
こういう人は、最後の詰めが甘かったのだと思う。

最後まで、勝負が終わるまで、完全に力を出し切る、そういう人だけが、金メダルを取れるのだと思う。


どんなことでも、最後まで、やりぬくというのは、大切だと思う。

最後に、間違った方向に行ってしまうと、今までの努力が、水の泡になってしまう。
今までの努力が台無しになってしまう。。。



(昨日の続き)

月曜日の朝のことだった。
「おはようございます。」
25歳の男が来た。

俺は、普通に、
「おはよう」
と言った。

彼は、席に着くと、上着を脱いだ。

俺の頭の中は、？？？ではなく、！！！だ。
「はい？？　え！！！」
という感じだ。

突然、近視矯正手術をして、5月にサングラスをかけてきた男だ。
たいしたことでは、驚かない。

でも、それを突破されたら？


近視矯正手術のレーシックをしてきた後、
セレクトショップのビームスに行き、服を買うようになった。

良いことだと思う。

でも、汚いナップザックは、なぜかそのままだ。
俺には、理解できない。
なぜ、そのナップザックにこだわる？



日曜日に、原宿の古着屋に行く、と言っていた。
そろそろ、古着にもチャレンジしたいと、言っていた。

なにごとも、チャレンジすることはいいことだ。
失敗してもいいではないか。

まだ、25歳。これからだ。
女性にモテるために、努力をする。

とても、良いことだ。
と、俺は思っていた…。


古着屋には、1人で行ってもわからないので、俺の友達(同僚)に連れて行ってくれと、頼んだ。

そして、友達と25歳の男の2人で、日曜日に原宿の古着屋に行ったそうだ。
すごく気に入った服があり、喜んで買った。
それを、着てきた。

気に入ったものを着れば、テンションも上がり、仕事もはかどるだろう。。。


8月のこの暑い時期に、白いYシャツを着て、ベストを着て、ジャケットを着てきた。

古着屋で売っているベストを気に入り、買ってきたのだ。

そのベスト、理解を超えている…。
お笑い芸人のレイザーラモンＨＧが着ているようなベスト。
白いYシャツの上に、レイザーラモンのベスト。

本人は、最高にうれしいらしい。
そして、カッコ良いと思っているらしい。
もちろん、レイザーラモンのベストだ、なんて、考えてない。

「フォー」なんて考えてもない。
すごい勘違い。。。


俺の頭は、
「はい？？　え！！！」
という感じ。。。

次に、いろいろ考えてしまった。
この暑いのに、ベストはないだろう。
いや、そういう問題か？
オフィスの中で、レイザーラモンはないだろう。

とりあえず、脱ぐように言うか？
でも、本人は、すごくうれしそうだぞ。
そのうち、変だ、と気づくかな？

結局、答えは出ない。

友達のところに行き、
「お前、何をやってたんだよ。あれ買うの見てたんだろ？やめさせろよ。」
と言った。

友達は、
「俺だって、止めたぜ。でも、目を離したスキに、買ったんだよ。」

友達が目を離したスキを狙ってまで、欲しかった、ベスト。
レイザーラモンＨＧが着ているようなベスト。

古着屋には、いろんな服があったと思う。
なのに、レイザーラモンを選ぶのは、なぜだ？

どんなインスピレーションがあったのか、聞きたいものだ。
古着屋で、このベストを見て、どうやったら、

白いYシャツの上に着る。
会社で着る。

を思い浮かべられるのか？


女性にモテたいから、彼女が欲しいから、
レーシックをしたり、
ビームスに行ったのではないか？


レイザーラモンＨＧは、ハードゲイをモデルにしているのだ。
最後で、ハードゲイに走って、どうする？

若いのだ。
間違った方向に行くことはあるだろう。
でも、彼女を作りたいのに、ハードゲイは、違わないか？

ずっと努力をしていたのに、最後で、違う方向に行ったような気がするが…。


すごくうれしそうだが、やっぱり、オフィスでは、着るべきではない。

俺も、笑ってしまう。
ベストは脱いでくれ…。