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SF小説「闇の左手」を読んでみた

2008年05月01日 12:59

SF小説「闇の左手」を読んでみた

僕はSFでも好きな作家ばかり読んで、それ以外は食わず嫌いならぬ読まず嫌いになることが多いのですが、アーシュラ・K・ル・グィンもそうでした。
で、「ジェイン・オースティン読書会」のなかで、彼女の名前が出てきて、ふと、読んでみようという気になりました。すごく面白かった!良質なSFにはよくあることですが、SFとかどうかというよりも文学作品として、素晴らしい出来です。女性でなくては書けなかったのでしょうね。雌雄同体の人間の住む惑星に、男性の(それも黒人らしい)人間が送り込まれて、その惑星政治体制・文化・習慣などに翻弄される様が書き込まれています。
 物語ははるか未来で、地球も含んだ人間の祖先が、はるかかなたにあちこちの惑星にちらばったらしいのですが、それが一つの連合を作りつつある時代です。連合から、惑星「冬」に連合惑星の支配体制との間の交渉役として送り込まれたゲンリー・アイは、まずカルハイド王国という狂った王の支配下の国に現れますが、ここでゲンリーを庇護してくれていた宰相のエストラーベンには不信を抱いています。そして、エストラーベンは失脚し、国外追放にあいゲンリー・アイのもくろみは失敗し、次に訪れたオルゴレイン国は全体主義国家のようなところで、こちらでも政治家たちの政争にまきこまれて逮捕され思考改造施設みたいなところに送り込まれます。ここに、あのエストラーベンがあらわれてゲンリー・アイを助け出し、カルハイド国に向かうために雪の中を1000マイルの旅にでかけるのです。
 章立ては、ゲンリー・アイの覚書とエストラーベンの日記、そして惑星「冬」の古文書の引用などからできており、徐々に読者はこの本の背景を知ることになります。
 特に、この惑星の人間が雌雄同体であるが、周期的に訪れるケメルという発情期には、相手をみつけ、二人のどちらかが子供を孕むわけです。この惑星ではゲンリー・アイのように性が固定しているのは、年中ケメル状態にある変態ということなるのです。
 思考実験としてもみごとで、フェミニズムが吹き荒れた後の今日、この本を読むと、いかにこの本が進んでいたかがよくわかります。(1969年の発表です!)

このデジログへのコメント

  • 夜明前 2008年05月01日 14:02

    なつかし。ル・グインはファンタジーともSFともつかない感じが読みやすかった覚えがあります

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