「それは、ただの気のせいです」

いやー、今年の夏は暑いそうですよ。バブルはもう来ないらしいですよ。女の子はね、眉と化粧を濃くするとね、バブル期の女になっちゃうですよ。
二十一世紀の今、あの頃のドラマの再放送なんか見てると「あららー」な気分になっちゃうもの。アレだね、映像の世紀が落としていった忘れ形見。
派手なカッコで踊っちゃったりしてね、ダイナマイトボディーでパワフルフェイスなバブルレディが前衛舞踊を踊ってたりしてね、もう大変です。でもその前衛舞踊にすらも資本がありーの需要がありーの。アレだね、資本主義が生み出した悪魔。

その時代、あたしはまだ産婦人科やベビーベッドなどで寝て、たまに起きても喋る言葉は「ばぶーばぶー」です。

あれから十九年、あたしは子供を生める年齢になりました。喋る言葉は「ばぶーばぶー」から「カントのコペルニクス的転回、カントのコペルニクス的転回」に変わりました。


まぁ、要するに、あたしは今日、家を出て学校に行ってバイトに行って家に帰ったってことです、あい。ばぶーばぶー。