ゆいのレッスン3

子供の頃、あたしはカレーライスを作りました。
頑張って作っちゃうぞーってことで肉やじゃがいもやニンジンなどをお母さんと買いに行っちゃって台所で包丁を取り出しゴメンナサイ牛さんでも仕方ないの人間はこうしないと生きていけないのって思いながらもニコニコしながら肉を切ろうとして指を切っちゃってぐすんぐすん。
笑顔は簡単に泣き顔に変わりました。
結局、あの頃のあたしはカレーライスを作ることが出来ませんでした。

しかし今日は違いました。
ロリータな頃のあたしでは考えられない程、上達した包丁さばき。じゃがいもはいとも簡単に切られて『じゃが』と『いも』になってじゃがじゃが、いもいも、だばだー、じゃ、が、い、も。
牛さんへの同情心など一片も感じない始末。モーモーからギャーギャーへの鳴き声の変化も脱ロリータのあたしには聞こえませんでした。あたしの干支は牛です。モーモー。モー娘。安部ちゃん。牛肉は盗んできました。ウソです。買いました。フロイトの精神分析入門も買いました。読みませんけど。

閑話休題。

あたしの作ったカレーライスは絶品でした。ぱくぱく。天才だな、あたしは。料理の天才だな、あたしは。自画自賛。あたしは夢や無意識の研究よりもカレーライスを食べる方が好きです。あなたが好きです。あなたを愛しています。あたしをあなたの腕に抱いてください。ところであなたは誰ですか。辛いな、カレー。