- 名前
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- 57歳
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- 神奈川
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「めぐりあい」第六話 はるに逢いたい
2024年10月06日 09:04
私ははるなら分かる、二人の思い出をブログに書いたんやった
晩秋の朝日を浴びながら、青蓮院門跡の宸殿(しんでん)から大楠のある静かな庭をずっと二人で眺めて、青蓮院の庭園を二人で手をつないで歩いて、知恩院から丸山公園を通って八坂神社にお参り
ねねの道を通って高台寺から賑やかな二年坂・産寧坂経由で清水寺へ
もうそのころはすっかり秋の日は暮れつつあった
清水寺から沈む夕日を二人で見たんも忘れられん風景の一枚や
彼にまた逢いたい・・
もしも彼に妻子がいても、私に夫や子供がいても、だけど逢いたいという気持ちに変わりはない
映画「めぐり逢い」が好きだった私が、「もし二人が別れても、デボラ・カーとケーリー・グラントがニューヨークのエンパイアステートビルの展望台で逢おうと約束したように、もし別れたとしても、私らもいつか、京都タワーの展望台で逢えへん?」と、そう約束したんを覚えとる?
私はブログにそう書いたんやった
今までその一線を越えんかったのに、そんなブログを書いたんは、旦那から電話があって、「離婚したい」と言われたからやった
電話の奥の旦那の感じから、離婚を押し進めなあかん強い意志を感じた。あぁ、やっぱりあの女と一緒になるんかな? 私は一度も会ったこともない、気配だけ感じ取る女のことを思った。私は深くは聞かんかったけど、これだけは聞いたんやった
「あんたと別れるんは私もええよ。悟のことはどうするん?」
「悟には時々会いたい。養育費ももちろん払う」
私は同意して、離婚の手続きを進めることにした
その夜飲んだ赤ワインは、普段はそんなことないんやけど、ちょっと悪酔いして、頭が少しぐらつく中で、心の叫びをぶつけるようにサイトのブログにはるとのことを、はるに逢いたいという思いを書いたんやった
そんなブログを書いたあと直ぐに、ハルからメールが来た
「もとこに逢いたい。京都タワーの展望台で。俺ではダメかな?」
(つづく)
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