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ネアンデルタール人も鎮痛薬や抗生物質を使用
2017年05月21日 23:22
<ネアンデルタール人も鎮痛薬や抗生物質を使用>
今では鎮痛剤や抗生物質は医療に欠かせない薬ですが、約5万年前にも、旧人類のネアンデルタールが抗生物質や鎮痛成分を含む草木を使用していたそうです。
これは、豪アデレード大学のオーストラリア古代DNAセンターなどから成る国際研究チームが、英科学誌ネイチャー(Nature)誌に発表したものです。
論文著者:Laura S.Weyrich他
科学誌名:Nature(2017)doi:10.1038/nature21674 08 March 2017
研究ではネアンデルタール人4個体の石灰化した歯垢のDNAの遺伝子分析を行いました。ちなみに歯垢には、口、気管、胃などに生息していた微生物や食べかすなどのDNAが保存されており、これを分析することで食べていたものや、健康状態を知ることができます。
その結果、ベルギーのネアンデルタール人がヒツジやサイの肉などを日常的に食べて狩猟採集民的な生活様式をしていたのに対し、エルシドロン洞窟のネアンデルタール人は松の実、コケ、キノコ、樹皮などの菜食中心の食事をしていることが分かりました。
また、スペインのエルシドロン地域に住んでいたネアンデルタール人の男性は、抗生物質を産生するペニシリウム属の真菌を摂取し、サリチル酸を含むポプラの木の破片をかんでいたことが分かりました。
このサリチル酸は、現代でもよく使われている鎮痛薬アスピリンの有効成分です。
また、この若いネアンデルタール人の下顎骨には膿瘍による損傷がみられ、また歯石から激しい下痢を引き起こす腸内寄生虫の存在が確認され、若者がひどい病気に侵されていたことが分かりました。
以上の結果から、当地のネアンデルタール人は薬用植物や各種の抗炎症作用や鎮痛作用などの特性を熟知し、自己治療を行っていたと考えられるそうです。
最近の研究によると、鎮痛作用以外に、抗がん作用もある事が分かっています。
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