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中日新聞より。

2016年09月01日 23:24

『防毒マスクで学校へ』


二年前の四月、豊橋市の杉浦さん(45)の娘さんは希望を胸に高校へ入学した。
ところが、教室に入ってすぐに頭痛吐き気に襲われる、さらに歩けなくなった。
病院で化学物質過敏症と診断された。
新しい環境が引き金となって、発症したらしい。教室でたおれてしまうことも数十回。二年生になったころには症状が悪化し、周りの人の柔軟剤やシャンプーの香りにも反応するようになり、学業を続けるにも困難を極めるようになってしまった。
そんな中、学校が業務用の空気清浄機を教室に設置してくれた。友達のMさんは、一時歩行困難になった際、四階の教室までおんぶして運んでくれた。
「軽い、軽い、筋トレになってちょういいよ」と言って。
また、体力テストの後の着替えの時「制汗スプレーはトイレでやってね」と、みんなに頼んでくれた。
その後、トイレに行くと窓を開けて換気してくれていたという。
「楽しみにしていた修学旅行も症状が悪化した時期と重なり、行けませんでいた。頑張らなくてもいいよ、学校を辞めようと何度も話しました。でも本人は、学校と友達が好きだから続けるといいます。
単位が不足しがちで大変ですが、三年に進級できました。
今は、塗装業の人が使う防毒マスクをし、シャワーキャップをかぶり、ウインドーブレーカーを着て授業を受けています、これからも困難が待ち受けているかもしれませんが、多くの方に支えていただけるおかげで通うことができます。
藤ノ花女子高校の先生方、クラスのみなさん、本当にありがとうございます」と杉浦さんは話す。

中日新聞掲載 2016年(平成28年)6月5日

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