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3・11 あの日からのマンガ――『美味しんぼ』
2015年10月23日 04:50
おはよう(^∇^)
星新一の小説に
『人民は弱し
官吏は強し』と
いう作品がある
星新一の父の会社の実際の話だ。
星一の『星製薬』は大衆薬の販売で成功するが、懇意にする政治家の失脚により、担当官庁の圧力で販路を断たれる。
ショートショートを1000篇以上書いた星は生涯エンターティメントに徹するが、長さも内容も唯一の例外と云える作品。
私は『美味しんぼ』の「鼻血問題」の騒動に、この小説を思い出した。
『美味しんぼ』(第110、111巻)
雁屋哲・作、花咲アキラ・画
小学舘 2015年
2巻にまたがる「福島の真実編」は、前半と後半で作品のトーンが変わる。
第110巻では、取材に基づいた福島に根ざした地元の食に携わる人々の努力と奮闘が描かれる。
ところが第111巻に入ると、福島を日本の負の象徴と捉える悲観的な記述が増える。
そんな中で2014年4月、問題となる『美味しんぼ』「福島の真実編」の第22話が『ビックミックスピリッツ』第22・23号合併号に掲載される。
その10日前、『ビックミックスピリッツ』の編集は担当官庁にFAXでゲラ刷りを送り、鼻血の描写の是非を問うていた。
「返答は後日」とされ、結果、国会で取り上げられる。右翼からも抗議があり、発売日に抗議デモが予告、実行された。
併せて、『ビックミックスピリッツ』編集部には抗議の電話が連日殺到する。
雁屋哲は自分のホームページに
「私に文句がある人は、私のこの頁宛に書いてもらいたい。編集部に電話をかけると編集部が迷惑するから」
と書いた。
火に油を注いだ。
「雁屋哲は自分のホームページにこんなことを書いてるが、そんな奴の漫画を掲載してる『スピリッツ』が悪い」
抗議の電話は、雁屋哲がホームページ゛に何か書く毎により一層の激しさを増した。
『ビックミックスピリッツ』の編集部では、全部で20回線ある電話が全て、朝は10時から夜は7~10時くらいまで、抗議の電話で完全に塞がれた。
作家との打ち合わせ等の通常業務は夜~深夜に行われざるを得ず、編集部は『ビックミックスピリッツ』休刊をも視野に入れた。
『美味しんぼ』連載終了と雁屋哲の沈黙により、事態は沈静化したが、そもそもは小学舘が悪い。
発売前の記事のゲラを利害関係の生じる相手に見せるのは、本来はあり得ない。
やるとすれば、総会屋や企業ゴロの手口。記事掲載を見送る見返りに、金品や情報を得るのが普通。
素人が、下手な真似をしやがって。おまけに、強請らなかっただと? なんじゃ、それ? わけわからん!
これで、右翼の感情を逆撫でした。
だが、右翼の抗議には市民団体も合流する筈だったが、発売日には街宣車こそ来たものの、デモの人影は疎ら。小学舘は厳戒態勢でことに望むも、蓋を開けてみれば、デモの人数よりも頼んだ警察の警備の数の方が多かった。
槍玉に揚げられた雁屋哲のブログ、何故か炎上はしていない。
一方で、何週間にも渡り連日9時間以上20回線を全て殺した電話の嵐。
プロの仕事である。
お上に逆らうとは、こういうことなのだ。
NHKなら、意のママになる。
民放、大新聞も懐柔してきた。
唯一東電の広告料に左右されない出版社は、云わば目の上のタンコブ。
これで、少しは懲りただろう。
問題の『ビックミックスピリッツ』22・23号は、発売日には完売。現在の出版業界では異例とも云える大金星。
小学舘は、これで善しとすべきか。
「鼻血問題」そのものは、KYとしか云いようがない。
雁屋はオーストラリアに住むが、日本特有の空気を読むって外国にはない。復興に向ける応援の空気を読めずに、虎の尾を踏んだことになる。
理屈はあるだろうが
「福島の人は福島を捨てる勇気を」
は云い過ぎだ。
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