- 名前
- 笹熊猫 尚輝
- 性別
- ♂
- 年齢
- 51歳
- 住所
- 千葉
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【「プリキュア」大ヒットの秘密♪】
2010年08月28日 08:55
大ヒット「プリキュア」に学ぶ
子どもマーケット攻略法
プレジデント8月16日(月) 10時30分配信 / 経済 - 経済総合
3~6歳の女児から圧倒的に支持されているキャラクターがある。日曜朝に放映されているアニメ「プリキュア・シリーズ」だ。ヒットの裏には、既成概念を超えたコンセプトと、親・子ども両者の思いを満たす細かな配慮があった。
■「女の子も暴れたい」。逆転の発想からヒットが生まれた
デフレ不況に加え、少子化という構造的問題性を孕みながらも、キッズ・マーケットはそのやり方いかんで、大きな成果を挙げることができる。このことを如実に証明してくれたのが、女児向けアニメの「プリキュア・シリーズ」である。
2004年2月に始まったテレビアニメ「ふたりはプリキュア」は、最新の「ハートキャッチプリキュア!」まで毎年更新され続け、実に7シリーズ(7年目)に至っている。これは美少女戦士物の先駆けであり、不朽の大ヒット作とされる「美少女戦士セーラームーン」の5シリーズ(5年:1992年から97年)をも凌駕している。
なぜこのアニメがここまでヒットしているのか考えてみたい。
このキャラクターをつくり出したのは東映アニメーション企画営業本部プロデューサーの鷲尾 天(たかし)氏である。彼は商社、出版社、ローカルテレビ局を経て、98年に東映アニメーションに入社した。ローカルテレビ局時代には主にドキュメンタリーを制作し、およそアニメには縁遠かったという。新聞の求人広告を見て、東映アニメーションの入社試験を受けたときには、「子どもの頃マジンガーZ見たな」程度の記憶しかなかったそうだ。
そんな鷲尾氏が朝日放送の毎日曜日朝8時半に放映している東映アニメーションのオリジナル・アニメ枠に、初めてプロデューサーとして入ることになった。番組スポンサーから出された要望は「女児向けの作品をつくってほしい」とのこと。アニメーション業界に長くいるわけではなく、女児向けアニメーションなど手がけた経験のなかった彼は、当然、知恵を絞らざるをえなくなった。
仮面ライダーやウルトラマン世代の彼は、とりあえず変身してアクション(戦闘)するものだと、「カッコいいだろう」という発想で、企画を練ったそうだ。ただ筆者からすると、単純に考えて、女児ターゲット向けに「戦い」がメーンというのは抵抗感がある。思考が古いからかもしれないが、もしも女児向けアニメをつくれと言われたならば、学校とか友情とか少女らしい柔和なシーンを発想することだろう。
しかし彼は「戦い」の企画を推し進めた。最初の「ふたりはプリキュア」の企画書のコンセプト欄に「女の子だって暴れたい」と書いたそうだ。その根底には幼児には、男女差がほとんどないとの考えがあったからだ。公園でも、幼稚園でも一緒になって遊ぶ。幼児世代は男女の違いなく飛んだり跳ねたりして遊びたいだろうというのが、彼の考えだった。
だが単なる直感だけでこのシリーズが成功を収めたわけではない。いわゆるマーケティング・リサーチはきちんと実施しているのだ。事前に女の子の好きな職業であるとか、好きなカラーであるとか、アニメ作品やおもちゃに関して、これまでどのようなものが女の子に好まれてきたのかを調べた。
とりわけ美少女戦士物の模範例といえるセーラームーンについては詳細な検討を加えたという。なぜあれが女の子にあそこまで受け入れられたのかを理解するために、ヒアリングを行い、実際にストーリー構成も研究した。
とはいえ「(セーラームーンと)同じことをやったからといって、今の時代に受け入れられるわけではない」と、新たな発想のための原点に位置づけたのだった。
■暴力、水着はNG。女児目線を徹底する「小さなこだわり」
プリキュア・シリーズには、鷲尾氏とタッグを組んだ西尾大介監督による独特のこだわり──これは基本ルールと言い換えてもいいが──がある。
例えば顔面への攻撃はしない。水着や下着は見せないなどだ。アニメのターゲットである女児がプリキュアごっこをしたとき、無意識のうちに絵に刷り込まれていることをやってしまったら怪我をする可能性がある。そこで、顔面や腹部を殴ったり殴られたりというシーンは表立って出さないようにした。それらはすべてガードされているのだ。ただし、ガードしたうえでふっ飛ばされ、壁にぶつかってそれが壊れるというのは、女児が真似しようと思ってもできるものではない。そういう真似のできないところで威力、ダメージ等を想像させることを意識したのだ。
また「大人が好きそうなことはやめよう」と決めた。例えばターゲットの女児がとにかく楽しく見られるのであれば、あえて水着を出さなくてもすんでしまう。夏休みっぽい雰囲気であればいいじゃないか、と考えたのだ。さらにミニスカートのコスチュームで戦えば、下着が見えてしまうのが普通だ。だが、そうならないようにレギンスを着用させ、絶対に見えないように配慮していたという。このような取り組みが奏功し、俗に美少女オタクといわれる人種に溺愛されることはなかったそうだ。これは美少女戦士セーラームーンとの大きな相違点である。
さらに鷲尾氏が作品づくりの際に常に大事にしていることがある。それは登場人物に感情のリアリティを持たせることである。プリキュア・シリーズの場合、メーン・ターゲットは3歳から6歳であり、しばしば親も一緒に観賞している。つまり大人も見るわけで、「ここまでやられたら怒るだろう」とか、「ここだったら泣くよね」といった感情の流れの自然さが求められる。それゆえ鷲尾氏は登場人物の感情の流れの必然性、リアルさを常に念頭において作品づくりを行った。手抜きのない本物志向の追求といえよう。
■売り上げ半減、打ち切りの危機をコラボで乗り切る
今、プリキュア・シリーズは開始7年目を迎え、女児向けTVアニメ放映回数としては最高記録更新の只中にある。また関連玩具を販売する株式会社バンダイは2009年度におよそ110億円のキャラクター売り上げを記録している。だがこれまで平坦な成長軌道を描いてきたわけではない。存続の危機も経験しているのだ。
3年目の「ふたりはプリキュアSplash Star」では、登場人物をフルモデルチェンジした。理由は、コンテンツとグッズ販売の問題である。シリーズの年数がたてばたつほど話の中身が複雑にならざるをえなくなり、最初からそのキャラクターを知らないニューカマーが入ってこれなくなってしまう。またキャラクターが同じままだと、番組自体の人気はあったとしてもスポンサーの商品がリニューアルできずグッズ販売は、じり貧になる。
このような判断から登場人物の刷新を断行したのだが、結果は裏目となり、視聴者からは大ブーイングを受け、グッズ販売も約60億円へとおよそ半分まで落ち込んでしまった。このときにはさすがに危機感にかられ、4年目に継続することに対して侃々諤々の議論があったという。
そしてなんとか「もう1年やってみましょう」となったときに、コラボレーションの重要性を痛感したそうだ。プリキュアに関係していた玩具メーカー、雑誌社、音楽メーカーが危機感を共有し、なんとかしなければいけないということで「番組制作委員会」的なものの組織化に動いたというのだ。「製作委員会」というのは多大なコストのかかる映画では一般に見られる方式だが、TV番組では存在しない。この初の試みには、上記の関連各社に集まってもらい意見を出し合った。最初は「この商品がこのぐらい売れました」といった数字の報告会のようなものだったそうだが、次第に「ああ、じゃあ、その戦略こっちでもやってもいいですよ。そのかわり、これをちょっと入れてもらえます?」といった感じで、実質的なコラボが進んでいったという。
■ヒットの鍵は「本物志向」と「お母さんの視点」
メーン・スポンサーであり、大切なコラボの相手であるバンダイの取り組みについても言及しておきたい。
同社では、東映アニメーションとは週に一回という高頻度で、打ち合わせを行っている。その場では「テーマはこんな感じでいきたいです」と提案したり、逆に東映アニメーションの側から、「ツールはもうちょっとこうしたらどうですか」といったアドバイスが出たりするそうだ。7年にわたって共に仕事をしてきているので、ガールズトイ事業部キャラクターチーム・サブリーダーの片野良太氏によると、「社内の人より、社内っぽいという感じになっている」という。
バンダイ社内での実際の商品開発プロセスとしては、まずファッションやアイテムなどのトレンドを八人のスタッフで調べ、それをパズルのように組み合わせてヒットしそうなものを考えていく。例えば、今年のテーマである「こころの種」ならば、「小さいキラキラしたもの、自分たちが子どもの頃、集めていたよね」、あるいは「今、宝石みたいなものを女の子は好むよね」といった議論を重ねて、提案物を決めていくのだ。
そして東映アニメーションとテーマやツール(商品イメージ)のすり合わせを行う。商品コンセプトが固まると、バンダイ社内ではドールは誰、パフュームは誰、といった形で役割分担が行われ、それぞれの分担ごとに商品を詳細につくり込んでいくことになる。
最近の女児向け商品のトレンドについて尋ねてみた。ガールズトイ事業部マーケティングチーム兼トイ戦略室マネージャーの渡辺寿一氏はこう語る。「現在のトレンドというと、断定はできないのですが、やはり傾向としてはより本物志向ということです」。これは鷲尾氏が作品づくりの際に感情のリアリティを重視すると言っていたことと通底している。理由は、購買意思決定をする人は主に母親で、彼女はシビアに判定するからだという。
とりわけ昨今、お母さん基準というのが大きな影響力を持っているという。お母さんのパッと見の印象、「可愛いか、可愛くないか」で決まるというのだ。もしもお母さんが「これ、可愛くないじゃん」と言ったら、幼児はそれに素直に影響を受け、「お母さんが可愛くないって言ってるから、可愛くないんだ」と思ってしまう。それゆえ、お母さんの視点、好みはきちんと意識して、モノづくりをしなければならない。
同社では最近、生活実感のあるものをつくることが多いという。あまり飛びすぎているグッズはお母さん基準にパスしないからだ。具体的には携帯電話やパソコンなどを模したオモチャがよく売れるそうだ。携帯電話は大人には最も身近な必需品の一つだ。幼児も触りたがる。しかし壊されたり、誤作動させられたら困るので渡せない。そこで、おもちゃの携帯電話を買い与える。「これはあなたたち用の携帯電話なんですよと。しかも、あなたたち用のものは変身ができる特別製なんですよ」という表現を使うのだ。
逆にタブーもある。例えば悪漢キャラは商品化していない。ガールズトイ事業部キャラクターチーム・マネージャーの村瀬和絵氏によると、「(悪漢キャラは)男の子の場合は商売になるんですけれど。ウルトラマンの怪獣とか、ガンダムの敵方のロボットスーツなどはあります」とのことだが、女の子向けのものはつくっていない。これは当然といえば当然だ。3歳から6歳ぐらいの少女は、やはり悪に毒されずに育ってほしいと考えるのが正直な親心だからだ。
少子化が影響してのことだろうが、今日の親の子どもに対する「こだわり」はハンパではない。上記の商品特性に対する判定・配慮もそうだが、かけているコストもばかにならない。「変身香水」として出されているココロパフュームは、標準小売価格が3465円する。また、なでたり握手したりして世話をするとしゃべる言葉が増える育成型ぬいぐるみの「シプレ&コフレ」は6195円だ。同社の販売ボリュームゾーンは3000円台という。
自分の愛娘には本物の良いものを買い与えたいという親心を明確に読み取ることができる。今回のケースに、デフレ不況を吹き飛ばす高付加価値型マーケティングの真髄を見た思いがした。
早稲田大学大学院社会科学研究科教授
野口智雄=文
【笹パンダ・コメント】
「プリキュア」シリーズって長くやってなぁとおもったら、もう7シーズン目なんですね。
いろいろなご苦労があって今の長寿があるんですね。感心しました。
確かにお財布はママが握ってますからね(笑)笹パンダも超合金欲しさにダダをこねたものです。
3~6歳の女児がファンという貴重なアニメなので、このままずっと続けていって欲しいですね。
このデジログへのコメント
> ゆうらさん
コメントありがとうございます。
笹パンダは、初代の「プリキュア」以外知りません(笑)
そんなに増員されてるんですね。
そのツッコミは、お見事です♪
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