これでいい、わけはないし、向かい合うべきは自分を必要としてくれる人のはずだ

おざなりな
約束に
我を喪ったまま
またしても　暖簾をくぐる

まぐろ中トロ
甘海老
殻付き牡蠣
帆立
秋刀魚
鯛
など、お造り
生麦酒　烏龍ハイなど
あっという間に
札が消える

のみならず、
苦手なカラオケの部屋に赴き
そこでも　札が飛ぶ

ギネス１パイント
ブラッディ・メアリ
ホット烏龍茶
またしても、札が行く

明日の　誰か言いたくない男との
デートの約束や
来月初めの
合コンの予定やら
彼が出来たらという仮定とやら

そんなものを聞かされつつ
駅の改札の向うへ
振り向くこともなく
消えていく姿を
今夜ばかりは
見送ることもなく

たっぷりと
まったく意味のない
無駄な金を費やし
明けた今日は

またしても
コンビニの
景品シールつきの
パン
パン
もうひとつ
パン
もうひとつ
パン

せめてもの
不愉快の証として
明日のブランチを誘うメールを送り

夜になると

「そばってかまぼこ入ってないんだっけ？」

と、カウンター内で
蕎麦を作るのではなく
時給のために、「こなす」だけ、のおばはんにむけ
そんなことで文句を言う男がいる　ような
そんな店で
かけそばをすすっているオレは
いったい
なにものなんだ？

もうたくさんだ

望み、以上と
認めるしかない、
見たこともない
美しい娘と、

夢のような
時を過ごした
快楽に酔い
感激し、
おもうさま
それを求め
応えられ

それを現とできたのだから
もう十分と
思うべきだ
足るを　知れ

恨むこともなく
感謝すべきだ

切りをつけ
袂を分て

そのための
マーカーとして
アンカーとして
今日を記憶せよ