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冬の彼方へーーー芽生え12

2015年04月08日 09:22

行為の後二人はまた一旦ベンチに腰を下ろした。まだ息の荒いまま…。

美紅は思う…。
新しい生命を宿した自分がまだこうして夫以外の男と関係を持ち続ける…
自分がまた愛欲に抗うことができなかった、その自責の念…。

「神崎君、私もうここから一人で帰るよ…
やっぱりいけないことだよね…ごめんなさい…
ここまで送ってくれてありがとう…」
神崎は言う。
「美紅…いや美紅さん。
俺もいけない事だと思いながら自分を抑えることができなかった…
お互い…しばらく考えた方がいいよね…」
神崎は美紅の妊娠を知らない。
計算上、お腹の子は夫達也の子のはずだ。
「そうだね…やっぱりいけない事だよ…
私も悪いよね…ごめんなさい…
もうこんな事はやめないとと思う…
じゃあ私帰るよ…しんどさも落ち着いたし…
早く帰らないと…
神崎君、明日も出勤するんだよね…
遅くまでごめん…ありがとう…」
「わかった…じゃあここで帰るよ。
夜道気をつけて美紅さん…」

二人は桜の花の下でそれぞれの家路につくことにした。
美紅は神崎を見送ってまっすぐ家を目指してゆっくりと歩き出した…。
気がつけば花冷えで肌寒さを感じる美紅であった…。

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