新デリバリー高校生π　スカイハイ

その日、結局、私と超セレブお姉さんは、小汚い場末の安ホテルに宿泊しました。そして、次の日も私は彼女に翼をつける作業をせっせと行います。二人は、食事もとらず、ひたすら愛欲の中を飛行していました。

不思議なもので、もはや７歳の年の差も生まれ育ちなどの違いも、気になら無くなっています。そこには、ただただ、１人の男と１人の女がいる・・と言う事実があるだけで・・。少なくとも私にはそう思えたのです。

二日目もそのまま宿泊・・ついに、三日目ニ突入。彼女は止めどなく求め、私は執拗に責め続け・・ぐちゃぐちゃのベッド・・汗と精液と彼女の蜜でドロドロになったシーツ・・乱れて絡まったような彼女の髪・・薄汚れた裸の男女・・窓は無く薄暗い部屋の中の様相は、その時点で、まるで異国の阿片窟の様でした。

彼女は、たぶん、今、この時だけでも背負って来たものを捨てて、裸の自分でいたかったのだと思います。

そして、私は、たぶん、半ば意地になっていた様な節があります。何も社会的な位置を持たず、先も見えないが自由で飛び回ることの出来る自分と、高貴な家系で金銭的にも恵まれてはいるが家柄や格式、しがらみに雁字搦めになっている彼女・・私は、その理不尽な目に見えぬ壁をたたき壊したい衝動に駆られていたのだ・・今となっては、そう思えるのです。

三日目の午後、やっと、二人とも、心身共に空っぽになってしまった様です。短い眠りの後、二人でシャワーを浴び、身支度をして三日ぶりの娑婆復帰。とにかく、食事をとり、私たちは、なんとなく別れました。

後日、再び彼女と会う機会があった折、聞いたのですが・・彼女の捜索願いが出ていたそうです。彼女の家では・・誘拐されたかもしない・・と思われていたようです。家に帰ってから、家庭内でやや揉めたなどとも云っていましたが、なぜか、憑き物が落ちたようにすっきりとした印象でした。

その数年の後、今度は偶然、新宿で彼女と出会いました。彼女は、あの後、暫くしてミラノヘ渡り、インテリアの勉強をしているとのこと。見るからに呪縛から逃れ、自由になった・・と言う風に私の目には映りました。

私が大学に残って助手を勤めていた時代のこと、住所を聞いたので、イタリアへ行った際、彼女を訪ねてみたのですが・・何故そうなったのか・・彼女はヘロインの常習者でした。『君もやってみる？』などと云われ、戸惑ったのを覚えています。・・・彼女は、また、別の世界ヘ行ってしまった様です。その後、暫く、折にふれ季節の変わり目などに便りが届いていたのですが・・それも途絶え・・再度、渡伊の際、ミラノのお宅に行ってみたのですが、残念ながらもうそこには住んでらっしゃいませんでした。