今日の1冊その23

子どもが大嫌いなのに教えることは大好きなので塾でバイトをしていましたが撃沈しました。

こんばんは。玉こんにゃくです。

「晩鐘(上・下) 」乃南アサ

教員が教え子の母との愛人関係の末殺害するという衝撃的な前作「風紋」の後日譚。
加害者側の家族、被害者の遺族、二つの家族を追う新聞記者との奇妙な縁を綴る。

「あの事件」から加害者と被害者に分かれた登場人物たち。
加害者の元妻と暮らすことになった息子の荒れ狂う生活からは目を背けたくなるが、一切を妥協せずに描くのが乃南アサだ。短編も舌を巻くほどうまいが、犯罪被害を扱ったものも抜群の筆致である。

もとから繊細なところのある女の子が母親を亡くしたらどうなるかっていうことよね。
いろんな事件が起こる小説だが、真裕子の人生と加害者の息子の人生を中心に据えて予想外の展開に持っていくのはさすが。

17歳で母親を失った真裕子の、屈折しつつも温かい感情や感傷を穏やかに見つめる建部のまなざしが胸に迫る。