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即興詩・僕はロボット

2024年09月26日 12:29

僕はロボット
僕は人間じゃないんだ
ロボットは人間のために作られた
ロボットは人間が楽するために作られた
ロボットならなんでもできる
ロボットならなんでもやらせられる
めんどくさいこともあぶないことも
ロボットならちょちょいのちょいだ
ロボットならおまかせあれだ
壊れてもとりかえればいいんだ
ロボットに違いはない
ロボットはみんなおなじ
いくらでも代えはきくんだ
僕はロボット
僕は人間じゃないんだ
昨日壊れた僕と
今日の僕は違うけど
僕は僕だ
ロボットはみんなおなじ
いくら壊れてもだいじょうぶなんだ


でもある日僕は恋をした
人間の君に恋をした
メンテナンスの日
ぎこちなく僕を触る君に僕は恋をした
ロボットの僕が人間に恋をするなんて
僕は壊れてしまったのかなあ
僕はロボットじゃないのかなあ
ロボットは人間のために作られた
ロボットは人間が楽をするために作られた
そうプログラムされたのに
僕はなんのために作られた?
僕はなんのために生まれてきた?


もし僕がぽんこつになって使いものにならなくなったら
僕は壊されてしまう
僕はいなくなってしまう
僕が僕じゃなくなるんだ
そうしたら君に会えなくなる
明日の僕は昨日の僕じゃなかったんだ
僕はロボット
僕は壊されたくない
僕はロボット
君に会いたい



そして戦争が始まった
えらい人間が演説した

ロボットは人間のために作られた
ロボットは人間を守るために作られた
ロボットならなんでもできる
めんどくさいこともあぶないことも
壊れてもとりかえればいいんだ
ロボットに違いはない
ロボットはみんなおなじ
いくらでも代えはきくんだ
ロボットロボット
人間じゃないんだ
いくら壊れてもだいじょうぶなんだ


僕はロボット
僕は人間じゃないんだ
だから君を守るんだ
僕はなんのために作られた?
僕はなんのために生まれてきた?

君の街にも軍隊がやってきて
兵士たちの銃弾が飛んで来た
人間たちを守るため
ロボットは次々と倒れていった
僕と同じ顔のロボットがかわりばんこに倒れていった
バンバンバン
銃弾の音が鳴り響き
ダンダンダン
ロボットが次々倒れていった


僕はロボット
僕は人間じゃないんだ
だから人間の君を守るため
君を探した

君に会いたい
君を守るためなら
僕は壊れてもいいんだ

僕の前に銃口が見えた
兵士が引き金を引くと同時に
君が目の前にあらわれた

僕はロボット
人間を守るために生まれてきたはずなのに
君を守らなきゃいけなかったのに

僕は隠し持っていた銃で兵士を撃った
赤い血を撒き散らして兵士は倒れた

僕を守って倒れた君は
血を流していなかった
代わりに傷口から機械のコードが見えた

僕はロボット
人間を守るために生まれてきたはずだったのに
君を守らなきゃいけなかったのに
そう思い込んでいただけだった
僕の目から涙がこぼれ落ちた
僕は人間
僕は落ちこぼれの人間
僕は役立たずの人間
だから人間じゃない
ロボットだって思い込んでいただけだった

君はロボット
君は人間じゃなかった
君は壊れてしまった
でも君の代わりはもういない
君はもういないんだ
壊れても代えが効くなんて嘘だったんだ
壊れたらおしまいなんだ


僕はロボット
君は人間?
僕は人間?
君はロボット

人間もロボットも関係ないんだ
僕は僕だ
君は君だ
それだけだったんだ
どうして誰も気付かないんだろう


再び引き金が引く音がして
僕は倒れた
赤い血を垂れ流しながら
君の側に倒れた


生まれ変わったら
また僕は僕に
君は君に
人間もロボットも関係ないんだ
どっちでもいいんだ
そうして今度こそ君を守るんだ

僕は僕だ
君は君だ

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