砂城

恩を仇で返される。何度目の裏切りか？
　どうせ約束を破ることは目に見えているので、かなり余裕を持ってスケジュールを組んでいたのに、最初の締め切り日は当たり前のように破る。次に設定した日も、平気で破る。その次に設定した日も、やっぱり破る。10日以上持たせた余裕も、あっさり破られて、こちらの予定も白紙状態になり、私はまた大変な状況に追い込まれてしてしまった。方々への、再びの謝罪行脚の始まりである。なお、「奴」は、ギリギリまで「できます！」と言い、こちらが送る確認メッセージにも「」のリアクションを返してくる。しかし、約束の時間を過ぎても成果物は送られてこない。「すいません、時間までに間に合いそうにないです」と最初から言えばよいものの、「奴」は絶対に言わない。時間を過ぎても連絡がないので、こちらが催促のメッセージを送ると、とんちんかんな言い訳をしてくる。無理なら、無理だと、言えばよいのである。何故に虚勢を張る。そして、私が新たな期日を設定し、この日まで頼みますよ。と、お願いすると、やはり「奴」は「大丈夫です！」と余裕ぶる。まあ、厳しいだろうなあ、とこちらも思いつつも、その場は受け流し、期日3日前からは「ちゃんと間に合いそう？」と毎日、確認メッセージを送る。その度に「」のリアクションをしてくる「奴」だったが、やっぱり期日までに間に合わない。例のごとく、意味不明な言い訳。「明日にはできる」とか言いつつ、当然できない。延期2回目の期日設定をする。「今度こそ、この日までは頼みますよ」とお願いすると、もちろん「奴」は「大丈夫です。信じてくださいよ！」と言い張る。そうして、2回目の期日も破る、3回目の期日も破る。これ以上はこっちがまずいと、何度も念押しした4回目の期日も破る。「申し訳ありませんでした」との謝罪もなく、「これでも僕もなんとかしようと努力してるんです」と言い張る「奴」。

　ここまで来ると、「奴」への怒りよりも、こんなやつに情けを掛けて、今まで許してきた自分への怒りが湧いてきた。何度も騙され、また信じて、結局騙される。さすがに精神的に参ってしまい、しばらく寝込んでしまった。せっかく、最近は穏やかな生活を送れて、創作活動にも力を入れられると思った矢先のこれである。人生、うまく運ばないものである。

　頭痛が治らない。キンキンと鳴り響く痛みに苦しみながら、もう毒でもあおって死にたいと考えていた。地道に頑張ってても、なんか変な奴に足を引っ張られてめちゃめちゃにされる人生。心を壊して、どうにか、また立ち上がって、一から頑張っても、まためちゃめちゃにされる。海辺に造った砂の城が、波が来てぐちゃぐちゃに壊されるようなものだ。そうして、また新しい城を懲りずに造り始めるも、やっぱりまた波が来て、城は跡形もなく消え去るのだ。それでも、また私は新しい城を造るのかもしれない。あなたの、目に、心に、一瞬でも、その砂の城が焼き付いてくれたら、それでよいと思いながら。そうして私は波にさらわれた砂粒のように、いつか消えていくのだろう。