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即興詩・サンドバッグ

2024年09月19日 11:20

ぼくはサンドバッグ。

 みんなに殴られるのが、ぼくの仕事なんだ。

 でも、サンドバッグのくせにパンチが飛んでくるのがこわいんだ。

 誰かが言った。
 
 それじゃあ、サンドバッグじゃないじゃん。

 君は、サンドバッグなんだよ。

 君は、ただみんなのパンチを受け続ければいいんだよ。

 君のからだはじょうぶだから、ちょっとぐらいパンチをくらったくらいじゃ、全然だいじょうぶなんだ。

 ふつうの人にパンチをしたら、顔面はぐちゃぐちゃになって、血は出ちゃうし、なんなら訴えられちゃうからね。

 その点、君はふつうじゃないから、いくらパンチをしても大丈夫! ぼくたちも助かっているんだよ。

 笑いながら答えるかれの言葉を聞いて、ぼくはふつうじゃなかったんだ。だからサンドバッグなんだとあらためて思うのでした。

 そうか、ぼくはやっぱりサンドバッグだったんだ、、、

 それからもサンドバッグは、みんなにパンチをくらいつづけ、ぶらんぶらんとからだをゆらしていました。

 ぶらんぶらん

 ぶらんぶらん

 
 そうして、ときどき思うのでした。

 もしぼくも、ひらりひらりとパンチをかわし、ボクサーのように、あいつにパンチをくらわせられたらと。

 このからだをぶんぶんとふり回して、おもいっきりぶつかれば、きっとワンラウンドKOにちがいない。

 そんなことを考えながら、今日もサンドバッグはぶらんぶらんとからだをゆらしているのです。

 ぶらんぶらん。

 気をつけて!

 いつかサンドバッグをむすぶひもがやぶれて、あなたのもとにぶつかっていくかもしれません。

 みんなに殴られつづけて、もうサンドバッグはぼろぼろなのです。

 ひもがぷつんと、やぶけるかもしれませんよ。

 ぶらんぶらん

 ぶらんぶらん

 ぶらんぶらん

 ぷつん!

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