- 名前
- 純生くん
- 性別
- ♂
- 年齢
- 59歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- 心の病気で引きこもっており、ほとんど外出もしてません。 デブなおじさんに興味のある方...
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ベルが鳴る
2011年03月08日 21:35
一人、PCの前に佇む私の傍らには電話が置いてある。
手を伸ばせばすぐ届く距離に。
でも電話はまず鳴ることはない。
私の電話番号を知っている友だちとは、もうすっかり疎遠になってしまっているから。
携帯電話も一応持っている。
でもほとんど使用していない。
アドレス帳には一人の登録もなく、携帯のメールアドレスは誰も知る人はいないから。
そんな午後に、不意に電話のベルが鳴る。
一度鳴り終わるかどうかのうちに、さっと受話器をとる。
ネット回線業者からの電話だった。
安くなるから、契約を乗り換えないかという営業電話。
いろいろ手続きも面倒だし、機器の交換のために作業の人が部屋に上がりこんでくるのも嫌だから、最初から契約を乗り換えるつもりは毛頭ない。
それでも一通りの営業トークを聞いた後に、私は答えのわかったような質問を投げかける。
相手からすればお客様だ。
丁寧に対応してくれる。
しばし会話を楽しむ。
こんな内容の会話でも、私には久しぶりのコミュニケーションだ。
自然と饒舌になっていた。
結果的に最後には丁重にお断りをしたのだが、相手は最後まで優しげに対応してくれた。
電話を置いた後、「厄介なのにつかまったなぁ」と思っているかも知れないが、それはどうでもいい。
私には、貴重な時間だった。
久々に長くしゃべると、のどが渇いた。
飲みかけの缶コーヒーをのどに流し込む。
これだけのことだが、妙に心地よい疲労感が残った。
その後、しばらく電話を見つめ続けたが、再びベルが鳴ることはなかった。
今夜も電話は寡黙に佇んでいる。
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