- 名前
- 埋葬虫
- 性別
- ♂
- 年齢
- 54歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- ひさしぶりに書き直してみたぞ。うっひゃっひゃ
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干拓地奇譚(12)
2010年02月25日 16:04
「いや、もってまわった言い回しは止めとこうか」
地面でまだアバレてるその奇形フナを、彼は靴で水際へとゆっくり押しやる。異常なほどの元気さを維持していたそのフナは、水を認識するや更に大暴れし、そうして、十分な深みまで身をばたつかせて移動した。
外道の怪物フナは、再度自由となり、沖へと泳ぎ去った。
「あれはな、所謂『被験体』。まあ本格的に開始されたか」
まただ。意味わかんねえ。。。しかしおいちゃんは何ごともなかったかのように、ネリエサで針を丁寧にまるめ込み、無駄のない竿さばきで沖へと投げこむ。で、木で鼻をくくったように、
「一回、おまえを M島へつれてって、釣りとかしてみるかなあと、思ってますっと」
へ?すげえ!嬉しいぜ、どうしてどうして?!なんでイキナリ?しかし、ヘソまがりで用心ぶかいガキである俺は、ちょっと沈黙してみた。次の言葉をまったんだ。
「まあ行って釣りやるだけだったら、いいかなあと」
いや、ほんとに意味わかんねえ。行って釣りやって。。。そうか、どうやら生物系の研究者みたいだから、あそこの周辺の生物をいろいろと見せてくれようとしてんのかな?てか、なんでイキナリそんなにやさしいのよ?
「おいちゃん、M 島に行ったことあるんすか?」
「。。。まあな」
「あそこ鉱山会社の所有物ですよね。いまいったいどうなってんすか??」
「。。。おもしれえことにはなってる」
彼はチラリと俺を見る。やはり、冷酷な、射貫くような眼光。
「ま、おまえにナニかあったらおまえも親御さんも可哀想だし、俺も確実に同定されてバラされるしな」
バラされるって何だろ?
「そんなあぶねえところなんすか?。。。俺の友達のオヤジが釣り船もってて、H 島の方へはよく行くって言ってましたよ。M 島の方は。。。」
「まあ漁船も近づけねえ感じになってきたな。委託うけた警備会社が相当なコストかけて着岸を制限してる」
「。。。へ?じゃあ行けねえって事すか」
「いや。。。まあ、説明しにくいんだ、が。。。登録うけた漁業関係者と、会社の人間ならば、島の一区画をのぞいてブラつく事が出来る。俺は、漁業従事者として登録申請中。仮登録証があるから多分問題ない」
その瞬間、何か猛烈に皮肉な苦笑いがチラと見えた気がした。
で、ここに来て俺は、話の筋としてごく自然な疑問を、おそるおそる口にしてみた。
「おいちゃん、あの島と、ここらへんの汚染って、なんか関係してたりするんすか?なんでイキナリ、M島に行く話するんすか?」
「。。。たしかに変なハナシの流れだったな。すまんな。ふっふっふっふ。ま、率直にいうが、おまえの事がまだよくわからんのでな。いろいろと、試用という事」
もう完全に混乱。俺がナンかの実験台にされようとしてるってコト?しかし、なんかワザと恐がらせようとしてねえか、このおっさん。
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