大槻ケンヂが歌うべき歌

その朝

火のなかでボクの人形が

ほほえんだ

焼却炉の火のなかで、

ボクの愛する

人形が、ほほえんだ

4人、4人、4人

あたまの中には豆電球

狂った窓には鉄の箒

ボクには見えたんだ

そう、ボクには、何も見えない

割れたモノと、そうでないモノ

ボクに見えたモノは、

何も見えない

紙を手にとり、なにはともあれ

よごれたガラスを

必死で、どうしようもなく

割れたガラスのむこうへ

ボクの汚れた口の中から

穢れた口を空へむけ

必死で、どうしようもなく

ああ、あそこで出あいし

4人、4人、4人

青い光が、頭を覆い

額の中央からは

錆ついた、オレンジの針金が

とめどもなく出てくる

目の中央から

綿のような牛乳のような

純白である幼児のボクの爪

おねがいです、ひっぱってください

ボクがわるいのだ、

もちろん、ボクの仕業

いつまでも

あの4人、4人、あの4人

もちろん、ボクのココロが

ばれたんだ

ボクが憎しみの塊である事が

赤い歩道橋につるされた

かつてはボクの赤子だった

あの子の顔を

ボクがつるした、あの子の顔を

あの4人がコピーして

トルソの針金を身にまとい

ボクが毎日、座わらされる、あの

椅子で

それは目をくりぬき、頭部をうがち

脳のかわりの、内蔵に似せた

しめった綿を、劇薬にひたされた

それを

それの頭蓋へと

ボクの脳の中心へと

線路をはしるボクは、

またあの微笑みで

道ゆく乙女を誘惑する

ボクの長あい漆黒の髪が

ライラックの香をまきちらし

乙女の委員会を困惑させる

いいでしょう、いいだろう

だから、

この腐敗した水を、のもう

この、汚水で、ボクを

浄化しよう

ああ、4人、4人、4人

人形は、頭をくりぬかれ

目からは、緑の光

トルソのように固定され

音楽をかなでる

指揮をする4人、4人、4人

ボクの目でボク自身を見つめる

4人、4人、4人