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木を見て森を見ず。

2009年03月29日 13:09

「物事の些細な一面にこだわり過ぎて、

 その本質や全体を捉えられないことの例え」

に使われる。



よく現代医学をこのように表現する事がある。

患者の痛みや症状に目を奪われて、

病気の全体像を見失っているケースがあるからであろう。



例えば、

膝を痛めて整形外科受診すれば、

膝関節への治療が行われる事になるが、

実は、体重が負担になっていて、

まずダイエットが必要という場合もある。



その点、

漢方治療では膝関節痛に対して、

痩せ薬を処方する例があり、

こちらの方が、

「森を見て」いる場合もある。




陸軍軍医でもあった作家森鴎外は、

軍事衛生上の大きな問題であった脚気は、

細菌による感染症であると考えたらしい。


海軍軍医総監が食事との関係も予測し、

脚気対策用に海軍兵士に麦飯を支給していたが、

森鴎外は、

陸軍兵士には麦飯を禁止する通達を出している。




日露戦争に出兵した陸軍は、

25万人の脚気患者を出し、

3万任近い兵士を病死させる結果となった、との事。



しかし、

麦飯でビタミンB1を摂取できた海軍では、

脚気患者は百人に満たなかったという。



森鴎外は、

食事など生活習慣という、

「森」を見なかったことなのかもしれない。



時に、身につまされる言葉だ。



物事に熱中するのも良いが、

客観的に自分自身を見つめる事も必要だ。

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